ストーカーについて

逗子ストーカー殺人事件

概要

逗子殺人事件とは、2012年(平成24年)11月6日に神奈川県逗子市で発生したストーカー殺人事件。

神奈川県逗子市のアパート1階居間で、東京都在住 元交際相手の元教員 小堤英統容疑者(40歳)が、以前交際していたフリーデザイナーの三好梨絵(りえ)さん(33歳)を刃物で刺殺し、同じアパートの2階の出窓にひもをかけ首吊り自殺した。

 

この事件では、被害者の自宅住所をインターネットに書き込みをしたり、探偵に依頼するなどして調べた経緯が取り沙汰されたほか、依頼を受けた探偵が被害者の住所を特定するために、さらに依頼をした別の探偵が違法に個人情報を入手したとして逮捕されるなど、探偵業界にも大きな波紋を投げかける事件となった。

今回の事件では殺害を予告するなどのメールを何度となく被害者に送信していたが、当時のストカー規制法では、断られたにもかかわらず繰り返される電話やFAXは「つきまとい行為」として明文で規定されているものの、メールは対象外となっていることから警察はストーカー規制法の適応外と判断。
同法の不備が問題となりました。

また、犯人が知らなかった被害者の結婚後の苗字や住所の一部を犯人に言ってしまっていた警察の大失態がマスコミにも取り上げられて大きな話題となった。

 

経緯

2004年、被害者の梨絵さんは世田谷区のバトミン トン教室で小堤と知り合い、2006年ごろまで交際。
当時、小堤は都内の私立女子高で社会科を担当する非常勤教師で、バトミントン部の手伝いもする生徒に慕われる人気者だったとも言われている。
ところが、梨絵さんから別れを切り出されると、小堤は「お前だけ幸せになるのは許さない」などと執拗にメールを送るようになったが、この時は当時住んでいた東京都内の警察に相談しメールは途絶えたという。
梨絵さんは2008年夏に結婚し「柴田」から「三好」姓となり、逗子市に転居。
この年の秋には小堤容疑者は身内を装い梨絵さんの勤務先へ電話をしているが、新しい姓や住所は隠していた。

2010年4月頃に梨絵さんの結婚を知った小堤から嫌がらせメールが届く ようになった。
逗子署がが小堤の家族を通じ注意したところ、小堤容疑者は自殺を図って入院。
メールは次第にエスカレートし、2011年4月には「刺し殺す」などと梨絵さんを脅すメールが1日に80通から100通送りつけられたため、梨絵さんはその旨を警察に相談し、同年6月に小堤は脅迫罪容疑で逮捕される。
同年9月に懲 役1年・執行猶予3年の有罪判決が 確定。
がしかし、この時逗子署は逮捕状を読み上げる際に、当時小堤が知らなかった結婚後の「三好」という姓と逗子市という住所の一部を小堤に読み聞かせてしまったことが後に大問題となる。
小堤は警察が読み上げた情報を基に、梨絵さんの行方を執拗に探し始める。

同年7月にはストーカー規制法に基づく警告が出され、同年9月には梨絵さんの家に防犯カメラが設置された。
2012年3月下旬から4月上旬にかけて、梨絵さんは計1089通に上る嫌がらせメールが小堤から送りつけられたため、警察に相談するも、メールには「結婚を約束したのに別の男と結婚した。契約不履行で慰謝料を払え」などと書かれていたため、警察は違法行為に該当しないとして立件を見送ってい た。
4月上旬以降はメールが届かなくなり、梨絵さんから警察に「静観したい」との申し出を受けたが、自宅周辺で頻繁にパトロールを実施。

また小堤は2011年6月の逮捕前及び同年9月の有罪判決後からYahoo!知恵袋で複数のアカウントを使って「梨絵さんの居住地域に絡む住所特定に関する質問」「パソコン・携帯電話の発信による個人情報の収集に関する質問」「刑法等の法律解釈に関する質問」「凶器に関する質問」等400件にもわたって質問をし、梨絵さんの居住地域や殺害に 関する情報を収集しようとしていたとみられている。
事件直前の2012月11月に探偵事務所に梨絵さんの居場所を調べてほしいと依頼して、探偵事務所から所在確認の連絡を受けたことが判明している。
嫌がらせが収まっていたこともあり梨絵さんは借りていた防犯カメラを返却したが、その直後の2012年11月6日に殺人事件が起こった。
小堤は無施錠だった1階窓から侵入して犯行に及んだとみられている。
事件直前に付近のコンビニの防犯カメラに、段ボール箱を持ちながら買い物をする小堤が映っていたことや、梨絵さんの玄関先に持ってきた段ボール箱を放置していたことから、小堤は梨絵さんや近隣住民に怪しまれないよう運送業者を装って犯行に及んだ可能性がある。

 

 

探偵の逮捕

2014年1月24日、小堤が依頼した探偵事務所からさらに調査依頼を受けた調査会社の実質的経営者が、梨絵さんの住所を聞き出すために事件前日の2012年11月5日に梨絵さんの夫を装って逗子市役所に電話をかけて「家内の税金の支払いの請求が来ているが、住所が間違っていないか」などと質問し、応対した市役所職員に梨絵さんの住所情報を調べるための不要なコンピューター操作をさせた偽計業務妨害罪容疑で逮捕され、同年2月13日に同容疑で起訴された。
また、ガス会社の契約者情報2件を2013年6月に不正に入手した不正競争防止法違反(営業秘密侵害)でも起訴され、2015年1月20日に懲役2年6月執行猶予5年(求刑、懲役3年)の有罪判決が言い渡された。

身の危険を感じていた梨絵さんから市役所には、事前に情報制限が要請されていたが、職員のミスで教えてしまった市役所の管理体制も大きく問題となった。

 

判決

2012年12月28日に被疑者死亡のため不起訴処分。

偽計業務妨害罪などで逮捕、起訴された探偵は、懲役2年6月、執行猶予5年の判決。

 

新たな問題点

この事件はまた、他の問題点も提起しました。

それは、小堤が梨絵さん宅の住所を知った経緯です。

一つ目のポイントとして、結婚して姓が変わっている梨絵さんの姓や住所の一部を、警察が逮捕状の読み上げなどの際に小堤に教えてしまった事。

二つ目は、梨絵さんの詳しい住所を調べるために小堤がインターネットの掲示板などを利用したこと。
三好さんのご主人を
「昔お世話になった人」として、広く情報を呼びかけました。
これによって正確な住所が判明したわけではないのですが、嘘を信じて安易に個人情報を書き込みかねない今のネット社会に警鐘を鳴らす結果となりました。

三つ目が、探偵を利用したこと。

確かに人探し(行方調査)は探偵の主要サービスの一つですが、小堤はこれ利用して梨絵さんの正確な住所を知りました。
もちろん、小堤は「私はストーカーです。これから殺人事件を犯します」と言って探偵に依頼したわけではないでしょうが、依頼を受けた探偵業者が違法な手段で個人情報である梨絵さんの住所を手に入れ、結果としてそれによって小堤が事件を起こしたことも事実です。

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