ストーカーについて

市川ストーカー殺人事件

概要

2013年(平成25年)11月27日、千葉県市川市のJR本八幡駅と京成本八幡駅に挟まれた繁華街で、湯浅栞さん(22歳)が自分の子供(3歳)と当時交際中の男性(35歳)の目の前で、近づいてきた岡逸人(23歳)に突然右脇腹を包丁のようなもので刺された。
110番通報により駆けつけた救急隊員によって病院に搬送されたが、約2時間後に死亡が確認された。
栞さんと娘は同居している交際中の男性(35歳)と三人で出かけている最中で、栞さんが刺された時、男性は近くに停車中の車内にいて栞さんが倒れるのを目撃し車から飛び出したがもう手遅れであった。
栞さんと交際中の男性は近く結婚する予定だった。
目撃者によると「犯人は二十~三十センチくらいの文化包丁を持って逃げた」と話しており、あたりはしばらく騒然となったが、容疑者の岡逸人は逃亡先の八丈島に先回りしていた捜査員に逮捕された。
加害者の岡は栞さんの居所を知らなかったが、娘の通う保育園を知っていたためその保育園を張り込み、タクシーで尾行した上での犯行ということも世間に衝撃を与えた。

経緯

栞さんが10代だった平成21年頃、当時ホステスとして勤めていた市川市のスナックに、岡が客として訪れたことがきっかけで交際する事となる。
ところが、1年ほど後に栞さんが他の男性の子供を身ごもったことを機に別れ、翌平成22年に娘を出産。
その後二人は再会し約2年間栞さんの娘と三人で同棲したが、ふたたび別れた。
ところが岡は、その約2週間後に実家にいた栞さんの元に押しかけて復縁を迫るなどトラブルを起こし、駆けつけた市川署員から「今度押し掛ければストーカー行為になる」と口頭で注意を受けていた。
その後、栞さんは交際相手の男性(35)とJR本八幡駅付近に引っ越し、住民票に閲覧制限をかけていた。
千葉県警市川署捜査本部によると、栞さんは平成25年9月に、2人の男性について計3回、「元交際相手(岡)から復縁を迫られ困っている。別の男性とも金銭トラブルがある」と同署に相談。
千葉県警はこの二人の男性に対し、ストーカー規制法に基づいて口頭による警告をした。

そして、事件当日。

栞さんは午後4時頃、同居する交際中の男性とともに車で市内の保育園に迎えに向かう。
保育園から尾行すれば栞さんの新居がわかるだろうとタクシーで張り込んでいた岡は、この時点で事前に刃物を購入していたことも明らかとなっている。
栞さんの乗る車を発見した岡は、娘を乗せて発進する車を尾行するようにタクシー運転手に指示。
タクシー運転手は岡に「どうしたの?」と聞くと「離婚しちゃって、子どももとられて、子どもに会いたいんだけど会わせてくれない」と説明した。
栞さんらの乗った車は、事件現場近くで停車。
栞さんと娘の二人だけが下車し宝くじ売り場に向かうと、岡もタクシーを下車。
岡は栞さんの右脇腹を刃物で刺し逃走。幸い娘にけがはなかった。
男性は車内の運転席で待っており「男が走り去るのを見た後に振り返ると、栞さんが腹部を押さえてうずくまっていた」と話している。
岡は無言で刺したとみられる。

岡は事件後逃亡していたが、事前に「八丈島に行く」という情報をキャッチしていた警察が、大型客船の中で乗客の身分を確認し岡容疑者を確認。
その後ヘリコプターで八丈島に先回りし、フェリーが到着したところで身柄を確保した。
岡は「間違いありません。罪を償います」と容疑を認めたという。
司法解剖の結果、栞さんの死因は右側腹部を刺されたことによる失血死と判明した。

岡は元暴力団関係者で、栞さんと出会った事がキッカケで暴力団から足を洗ったようだ。
市川市内で一人で「女を返せ」と騒いだり「女性を取られた」と泣きわめいていた事によって、警察によって身柄を確保されたりもしていた。
警察は、岡の言動から精神障害の疑いがあると判断し、保健所に通報もしている。
事件後、マスコミ、ネット住人、一部のタレントなどが「男関係がだらしない」「男との別れ方が下手だ」等、栞さんを非難するような声も聞かれたが、だからと言って加害者が許される問題ではない。

 

判決

殺人などの罪に問われた元交際相手の住所不定、無職、岡逸人に対する裁判員裁判の判決公判が2014年5月26日千葉地裁であり、佐々木一夫裁判長は懲役16年(求刑・懲役20年)を言い渡した。

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