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「モラハラ」

モラル・ハラスメントとは「身体的ではなく、精神的・情緒的な次元を通じて行われる継続的ないじめ、いやがらせ、つきまといなどの虐待」と解釈しています。

モラル・ハラスメントとは、主に言葉や態度によって、巧妙に人の心を傷つける精神な暴力です。
身体的暴力だけでなく、無視などの態度や人格を傷つけるような言葉など、精神的な嫌がらせ・迷惑行為を含みます。

 

この言葉を最初に使ったのは、フランスの精神科医 マリー=フランス・イルゴイエンヌ博士です。
それ以前は、このような職場でおこる問題は、「職場のいじめ、精神的虐待・暴力」と一括りで認識されていました。
博士曰く「言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が、職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせること」と定義しています。
それまでの、いわゆる「いじめ、精神的虐待・暴力」は、意図的に悪意を持っていることが前提となりがちであったのに対し、「モラル・ハラスメント」では、指導・教育などとして、積極的に悪意を抱いておらず、自覚なしにハラスメント行為を行っているケースを含むのが特徴です。

 

「モラル・ハラスメント」という言葉が定義されたことより、これまで、「いじめ」等としては認識されづらかったハラスメント行為が、精神的な暴力として、社会に認識されるようになりました。
特にヨーロッパを中心とした海外では、近年、これらのハラスメント行為に対する法律も整備されてきています。
モラル・ハラスメントとは「身体的ではなく、精神的・情緒的な次元を通じて行われる継続的ないじめ、いやがらせ、つきまといなどの虐待」と解釈している。
また、モラル・ハラスメントが成立するためには、「いやがらせ」が行われると共に、それが隠蔽されねばならない。
「いやがらせ」と「いやがらせの隠蔽」とが同時に行われることが、モラル・ハラスメントの成立にとって、決定的に重要であります。

 

それと、「セクシャルハラスメント」がひとつの法律用語として定義されているのに対し、「モラルハラスメント」は抽象的な意味で使われるものであり、法律用語ではありません。
また、第三者の目で見て被害の度合いがわかる身体的暴力に比べ、精神的な暴力は目に見えません。
そのため、加害者・被害者ともに意識が薄い場合が多く、深刻になるまで表面化しないという問題をはらんでいます。
モラハラは、ある特定のターゲットのみに対して行われる言葉の暴力、態度の暴力。一言で言えば精神的DVです。
モラハラのターゲットになるのは、加害者の身近で親密な人間であることが多く、恋人や配偶者などが典型的です。
モラハラをする男性は、一般的に自己愛が強いのが特徴です。
外では穏やかなカップルを装っており、2人だけの空間になると爆発するパターンが多いです。
職場の先輩から後輩、上司から部下へのモラハラもあります。
モラハラ加害者は自分の行動すべてを正当化し、ターゲットが自分の意に沿わないことをすると、
「お前は価値のないダメな人間だ」
「他の人も皆、お前のことをおかしいと言っている」
「お前のような人間の相手ができるのは自分だけだ」
などといった言動で、すべてがターゲットの責任であるかのように激怒し、追い詰めます。

 

パワー・ハラスメントは、部下を大声で怒鳴ったり、人前で責めたりなど、周りからみても「明らかにやりすぎ!」と分かりやすいケースが多いのが特徴です。
どんなに鈍い人でも、同じ部署でパワハラがあれば気づきます。
そのため、被害者自身だけではなく、周りの人がそれを指摘して問題が解決することもあります。
それに対して、モラハラは、静かに、陰湿に行われます。
例えば、「無視」、「わざとらしい咳払い」「相手を見下すようなしぐさ」などです。
周りから見て、気づかない人は素通りしてしまうような行為ばかりなのです。
そのため、同じ部署にいながらも、モラハラがあることに気付かない人さえいるのです。

 

しかし、こういったモラハラが継続的に続けば、被害者の心は深くえぐられます。
モラハラ被害者の特徴は、「自分がいじめられた」「相手を許せない」と思うのではなく、「自分はダメな人間なんだ」「自分なんて誰にも相手にされない」と自虐傾向が強くなるという事です。
自分で自分を信じられなくなり、徐々に心が衰退していくのです。
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