セクハラとは「セクシャルハラスメント」を略した言葉で、職場内での労働者の「意に反する性的言動」が対象となります。
具体的には、被害者が不快に思うような性的言動が行われ、それを拒否したことで被害者に解雇や減給などの不利益が生じたり、職場環境が悪化したりすることを「セクハラ」と定義しています。
職場におけるセクハラの行為者になりうるのは、事業主や上司、同僚などの社内の人だけではなく、顧客や取引先の人、また、病院や施設では患者や利用者が行為者になることもありうるのです。
さらに、セクハラ防止措置の対象となる労働者は正社員だけではなく、契約社員やパートタイマー、アルバイトなどの非正規の社員も含まれます。
なお、派遣社員は、雇用主である派遣元はもちろんのこと派遣先の事業所でも防止措置の対象となるので注意してください。
男女雇用機会均等法第11条では、事業主に対して職場におけるセクハラ対策を以下のように義務付けています。
「事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」(引用元:男女雇用機会均等法 第11条)
社内で実際にセクハラが起きているかどうかにかかわらず、法律によってセクハラ防止措置を適切に講ずることが事業主の義務と定められているのです。
また、「職場に限らず一定の集団内で、性的価値観により、快不快の評価が分かれ得るような言動を行ったり、そのような環境を作り出すことを広く指して用いる」といった性別を問わない用例もある。
そしてこのような用例を踏まえて、異性にとって性的に不快な環境を作り出すような言動をする事や、自分の行為や自分自身に対して、相手が「不快」であると考えているのも関わらず、法令による場合や契約の履行以外での接触を要求すること、同性同士で同様の言動をすることも含まれる。
この場合、行為者が自己の行為をセクハラに当たるものと意識していないことも多々あり、「認識の相違」と「個人の主観」に由来する人間関係の悪化が長期化、深刻化する例もまま見られる。
今日では、生物学的な性別と性同一性とが異なるために、性別によって文化的・社会的な取扱いが区別されるような場面で、自己の同一性と異なる振る舞いや性役割を要求され精神的苦痛を被るという性同一性障害を抱える人々の問題や、性的志向を同性とする人々すなわち同性愛者に対する差別的言動の問題もセクシャルハラスメントを論ずる際に欠かすことができない視点となりつつある。
2014年7月からは同性愛やトランスジェンダーなどLGBTに対する差別的言動もセクハラであるとし、雇用主は措置義務を負う事となった。
セクハラを端的に言い表せば、「性的嫌がらせ」の一言に尽きます。
しかし、その嫌がらせ行為が、された側にどのような効果をもたらすかによって、「対価型」と「環境型」に分けることができます。
□対価型
職務上の地位を利用して性的な要求をし、拒まれたときに不利益を与えるもので、解雇、人事異動、減給などが該当します。
□環境型(視覚型、発言型、身体接触型)
性的嫌がらせを受けた人が不快を感じ、職場環境が悪化すればそれだけでセクハラに該当します。
ただし、嫌がらせの定義は曖昧で、本人が嫌がっていなければ嫌がらせにならないのですから、セクハラに該当するかどうかは相手次第です。
したがって、全く同じ言動を複数の人にした場合、ある人は気にもせず、ある人はセクハラと感じるかもしれません。
気を付けたいのは、本人が嫌がっていなくても周りが見て嫌な思いをしていれば、セクハラとして会社側に訴えられる可能性があるという事です。
そのくらい気を使わないと職場で平穏に過ごせないのは、コミュニケーションがとれず行き過ぎだとする声もあります。
それでも、気付かないうちに相手が嫌な思いをしており、職場環境を悪化させていることを考えると、たとえ行き過ぎだとしてもセクハラは撲滅するべきという考えが主流です。