ご近所トラブルについて

ご近所トラブルに巻き込まれたら

ご近所トラブルの中の騒音も深刻な事件に発展する可能性もあります。
もし近隣の騒音に悩まされても「仕返し」は絶対にしてはなりません。
そもそも、騒音を出している相手は、自分が「騒音を出している=近所に迷惑をかけている」という認識がない可能性もありますので、まずは冷静に対応して下さい。

 

まずは、騒音の発生元を確認する事が先決で、上の部屋から聞こえてくると思っていても、実は配管や鉄筋を伝わり思いもよらない所が騒音の発生元であるケースもあるからです。
上の部屋から聞こえると思って、直接苦情を言いに行ったら「心当たりがない」と言われ、問題がこじれてしまう場合もあります。

 

□第三者を立てて話し合いをする

 騒音を出している相手にコンタクトして、冷静に話し合いをすべきですが、その場合、相手と一対一で相対する事は避け、第三者に立ち会ってもらう方がいいでしょう。
話し合いの内容について証人がいた方がいいですし、相手が激昂して暴力をふるうという事態もあり得なくはないからです。
第三者としては、賃貸住宅であれば大家さんや、区分所有住宅であれば管理組合の理事といった人も考えられます。

 

□手紙でお願いする

 また「手紙で伝える」という方法もあります。
ただし問題を大きくしないように、差出人の具体的な名前は書かない方がいいでしょう。

 

□「内容証明」を書く

内容証明は文書の内容を郵便局が保証してくれるので、もし裁判沙汰になった時に証拠になります。
内容証明を送るには、騒音の発生元が特定できているこ事が大切で、もし発生元が分からない場合には、管理会社宛てに出すという方法もあります。
注意しなくてはならないのは、感情に任せて書いても相手には理解されないので、理解されるためにはどのような内容にするのか、どのように書くのかを明確にしておく必要があります。

 

□マンションの場合は、まず利用規約の確認

 規約の中には、部屋(物件)の使い方、共用部分(玄関、廊下等)の使い方、ゴミ・廃棄物の処理方法、禁止事項(ペットの飼育等)、そして一般的遵守事項があります。
特に最後の項目である一般的遵守事項では、テレビや楽器等の音量や生活音(ドアの開閉、話し声等)に関する注意喚起がされているはずです。
「利用規約」に「音に関する遵守事項」が記載されていることを確認の上、マンションの管理会社に相談してください。

 

□マンションの場合は、その次に管理組合へ

 今現在の住まいが賃貸物件(マンション・アパート)ならば、管理会社がついているはずです。
管理会社へ困っている事柄と、それが起こった日時、状況を連絡してください。
1、2度のことであれば同じ屋根をともにしている者同士、「お互い様」の部分はありますが、あまりにも長期にわたって起こる事であれば、その状況・日時をメモしておき連絡をします。
必要に応じて対象者への連絡や注意をしてくれるはずですが、「逆恨みが怖い」という時は、匿名での相談として取り扱ってもらえるようお願いをしてみてください。
集合住宅の騒音問題は、意外にも設備トラブル(水道管のウォーターハンマー現象など)であることも珍しくはありません。
そういった意味でも、まず管理会社に相談するのがよいのです。
もしも管理会社がついていない物件であれば、大家さんへ報告します。

 

管理会社は、マンション住人の意見や要望を吸いあげて、住人で組織する管理組合にその内容を下ろし、理事会という形で審議します。
この管理会社というのは、実は住人同士のトラブルに関しても対応してくれます(管理会社によっては騒音などの場合、当事者間での解決を求めるところもあるようです)
管理会社を交えた3者での話し合いの場を設けてくれたり、トラブルのあった現場を確認したり、場合によっては騒音の程度を把握作業をしてくれるそうです。
住人同士での話し合いはこじれやすいという事を考えると、近隣住民との間に隣人トラブルを感じた時には、まずは管理会社に相談することが重要です。

 

しかし管理会社によっては、契約の時点で「住人の間のトラブルには一切介入しない」という契約を交わすところもあります。
したがって近隣・ご近隣トラブルに直面した際は、まずは管理会社に対応の可否の確認が必要です。
ただし、管理会社が対応してくれるとしても限度があります。
騒音を出す住人に注意文書を送ったり、電話で注意をしたりはしてくれても、実際に話し合いの場を設ける事まではしてくれないケースも少なくありま せん。
どこからどこまでをやってくれるのか?についても、あらかじめ確認しておく必要があるでしょう。

 

また、住んでいる自治体の役所に相談するという手もあります。
各自治体には日常生活に関する相談を受け付けている「生活課」という窓口があり、そこでは相続や離婚、金銭貸借など以外に、隣人・ご近所トラブルについての相談も受けてくれます。
その際注意するべきは、自治体が対応してくれる範囲です。
多くの場合、自治体はトラブルの原因となっている相手と直接交渉をしたり、問題解決のための手続きを代行したりまではしてくれません。
あくまで相談に対する「助言をする」というスタンスだからです。
でも、客観的、法的な視点から自分に何ができるのかを明確にするために、自治体への相談は大いに役立ちます。
隣人・ご近隣トラブルへの具体的な対応策として、管理組合の理事会に対応を依頼するという方法も有効です。
理事会は、管理組合の業務を遂行する機関ですので、他の相談先として自治会も考えられるでしょう。
しかし理事会にせよ、管理組合にせよ、自治会にせよ、そもそもそういう組織自体がトラブルの原因になっているケースも少なくありません。
適切に機能している組織ならば相談する価値がありますが、場合によってはトラブルを増やす危険がある事を覚えておきましょう。

 

□戸建てなら、自治会へ相談

 騒音など、自分の家だけでなく他の家へも影響がありそうな事柄なら、自治会への相談も有効です。
「近隣で騒音問題が起こっているようです」という旨の回覧物を作成してもらったり、ご近所へ投函してもらうなど、間接的に気づいてもらう方法をとりましょう。
このときは、「誰が」「誰の音で」をあいまいにした表現で作成してもらい、角が立たないよう工夫するのが最善です。

□役所へ相談する

ご近所トラブルは、騒音のみならず、悪臭やゴミの問題もありますので、役所への相談も可能です。
騒音やゴミ、ニオイの問題ならば環境にまつわる部署へ行きます。
当事者同士が話し合うのを避けることができますし、地域の問題として取り扱ってくれるケースもありますので安心です。
役所は、このような相談事を取り扱うのに慣れていますので、アドバイスを得ることもできるでしょう。

 

 □「記録」する

 「いつ、どんな音や声がしたのか」を具体的に記録して管理会社に伝えるのも有効な方法です。
可能であれば騒音測定器による音量の測定も効果的です。
いづれの場合も、いきなり相手に抗議や注意に行く事は、かえってトラブルを大きくする可能性があるので控えた方がいいです。

 □それでもダメなら警察に

 騒音を出している相手が特定でき、明らかに近所に迷惑をかけていることが分かっているような場合は、警察に相談してみるのもいいかもしれません。
また、「騒動をおこしたら通報する」と相手に伝えると効果的だそうです。
「警察」というだけで、相手は身構えてしまうものなので、警察に相談する事も視野に入れておくとよいでしょう。

 

警察に相談する場合、まずは「警察相談専用電話#9110」に電話をしてみましょう。
警察相談専用電話では、犯罪や事故に至っていなくても、ストーカーや悪質商法、隣人・ご近隣トラブルなどの悩み事、困り事の相談を受け付けています。
基本的に警察は事件性がなければ動いてくれませんが、警察相談専用電話では「相談」には応じてくれます。
受付時間は平日の午前8時30分から午後5時15分まで、土日祝日及び時間外は当直や音声案内が対応しています。
もちろん、直接警察署の相談窓口に出向いて相談する事もできます。
その場合は都道府県警察本部の「警察総合相談室」か、各警察署にある「警察総合相談窓口」に相談しましょう。
電話、対面どちらの場合でも、相談に対応するのは専門の「警察安全相談員」です。
もし警察安全相談員に事件性があると判断されれば、捜査担当に引き継いで検挙や補導などの法的措置をとってもらえる事もあります。
一方事件性がないと判断された場合、トラブルの原因となっている相手への具体的な対応方法など、法律上または事実上の手段についてアドバイスや指導を受ける事ができます。

 

また状況によっては他の行政機関を紹介してくれたり、未然に事件を防ぐために警察から指導・警告・説得などを行ってくれるケースもあります。
刑法に基づいて対応する警察に対して、今抱えている隣人・近隣トラブルが民法に抵触する場合に対応してくれるのが弁護士です。
例えば騒音トラブルの場合、騒音が民法709条に基づく「受忍限度」を超えていれば、法律上の「不法行為」として裁判所に訴えることができます。
もし訴えが認められれば、裁判所から騒音行為の差し止めや、損害賠償の請求を行う事ができるのです。
しかし受忍限度の判断を含め、弁護士に依頼をすればそれだけの費用がかかります。
相談の段階でまず「法律相談料」、依頼をすれば「着手金」「接見・面接費用」「成功報酬金」など、プラス交通費や法的手続きにかかる費用が別途実費で請求されます。
場合によっては自分が引っ越した方が低コストになる場合もあるため、弁護士と相談の上、冷静に判断するようにしましょう。

 

 

※管理会社や自治体の対応では状況が改善しない場合、警察・弁護士に相談すれば法的な措置をとってもらえる場合もあります。
ただ、ここでの警察・弁護士への相談は、隣人とのトラブルが起きた際に相手に「威嚇された」「暴力を振るわれるような怖い思いをした」などの場合です。
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