ご近所トラブルについて
まず「調停」には三種類あります。
◾️民事調停
家事・刑事事件以外のすべての法律上の問題・トラブル・事件を扱います。
◾️家事調停
離婚や相続をめぐる争いのような夫婦・親子・親族など家庭に関する紛争を扱います。
◾️特定調停
サラ金・クレジット等の借金(多重債務)の返済で悩んでいる方や,事業主等の特定債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を図るために,民事調停の特例として定められた制度です。
調停には裁判でいうところの「判決」がありません。
それは調停は人を裁くために設けられた制度ではないからです。
調停に立ち会う「調停委員」は、お互いの主張を聞いて相手に伝え どうしたらいいのか一緒に考える単なる「調整役」という位置づけです。
調停委員が言う事に一切強制力はなく、調停で何かを決めるのは結局は「本人たち」という事になります。
ですので、意見が真っ向から対立していてお互いに譲歩の余地のない場合や、片方が分からず屋で自分の主張を曲げないような人であった場合は、まず調停では話はまとまりません。
概ね調停を申し立てるのは、何がしかの要求をする方だと思います。
当事者同士で話をしてその要求を飲んでくれないから調停にするのでしょうが、強制力のない調停委員が間に入ったところで 相手は応じないというケースが多いようです。
離婚問題などの家事事件(家庭内の争い)は いきなり裁判にする事はできず、まず家庭裁判所に家事調停の申し立てをしなければならないという決まりになっています。
これを「調停前置主義」と言いますが、これは多くの家事事件では問題が解決した後でも 夫婦や親子、親族といった人間関係は続いていくので、いきなり裁判で黒白つけるよりも まずは調停から始めて人間関係の調整をする方が有効だと考えられているためです。
調停は基本相手と会う必要はないので、感情的にならずに冷静に話しを進められるというメリットはあります。
加えて「第三者を挟んだ話し合いの場」とも言えるので、専門的な知識やバランス感覚のある調停委員を間に介して話し合う事には一定の意味はあると思います。
因みに 調停での話合いで決まった内容は、裁判所が書面に残すので法的拘束力があります。
しかし、当面の問題は「話がまとまるかどうか?」なわけですので、そこに対して大きな影響力のない調停に対しては過度な期待はしない方がいいでしょう。