DVについて

「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(DV防止法)とは

配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備し、、配偶者からの暴力の防止と被害者の保護を目的にしたものです。
その中核となる支援施設は「配偶者からの暴力相談支援センター」や「婦人相談所」とし、民間のシェルターなどにも委託できます。
この法律の目玉となるのが保護命令で、被害者の申し立てにより裁判所は、加害者に6 ヵ月間の接近禁止命令や2ヶ月間の住居からの退去命令を出すことができ、命令に違反した場合は懲役または罰金に処せられます。

 

DV防止法の目的として一番は、男性の理不尽な暴力から女性を守るためです。
女性は結婚や出産を契機に、それまで務めていた職場を辞めるケースが多く、その後復職を果たしたにしても、育児などで時間に融通が利かないとあって、非正規雇用の職を選ばざるを得ないことが少なくありません。
このため、夫と離別してもなかなか自活は困難であり、そんな女性に対し、夫が心身の健康に悪影響をおよぼすような言動をおこなうことは、法と道徳律に照らして許すまじき行為であるという考え方が土台となっています。

 

「配偶者からの暴力」の定義

「配偶者」には、婚姻の届出をしていないいわゆる「事実婚」を含みます。男性、女性の別を問いません。また、離婚後(事実上離婚したと同様の事情に入ることを含みます。)も引き続き暴力を受ける場合を含みます。
「暴力」は、身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動を指します。なお、保護命令に関する規定については、身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫のみを対象としているほか、身体に対する暴力のみを対象としている規定もあります。
生活の本拠を共にする交際相手からの暴力について、この法律を準用することとされています。また、生活の本拠を共にする交際をする関係を解消した後も引き続き暴力を受ける場合を含みます。

 

具体的には

1.対象者は誰か?

「配偶者」です。赤の他人の暴力は、DV法では裁けません。刑法を適用します。
通常、配偶者というと、婚姻届けを役所に提出した2人、ということになりますが、DV防止法でいう配偶者は、事実婚を含みます。内縁関係や同棲、さらに離婚後あるいは交際をやめたあとも継続して暴力を受けているなら、この相手も配偶者とみなします。

 

2.どんな暴力が対象のか?

殴る蹴るの暴力だけでなく、精神的にダメージを与える行為や、性的暴力も含みます。
暴力をふるうふりをする、ものをぶつけるふりをする、というのもダメ。大声で怒鳴りつけたり、無視しつづけ たり、さげすんだ発言する、というのもNGですし、仕事を辞めさせたり、働きに行くのを禁止したり、友人や親族とのつきあいを邪魔する、といった行為もDV防止法の対象になります。

 

3.DVについて相談できるところは?

DV防止法にもとづき、相談窓口が設置されています。相談窓口は、配偶者暴力相談支援センターと警察です。
警察は、加害者に対し、逮捕や指導、警告といった措置がとれるほか、被害者に自衛手段や対策方法などのアドバイスをおこなっています。
配偶者暴力相談支援センターでは、加害者へ直接、法的な措置を講じることはできませんが、警察などと連係をはかりながら、適切な対策を講じることができます。さらに「生活の支援」「就業の支援」「住宅の支援」ような自立支援に関する情報提供もおこなっています。

 

4.今すぐ逃げたい時は?

婦人相談所は、配偶者暴力相談支援セン ターのひとつですが、被害女性の一時保護業務もおこなってます。各都道府県にかならず1つあります。

 

5.加害者を強制排除したい時は?

DV被害者が、さらに暴力を受ける可能性がある場合、裁判所が出す保護命令によって、加害者を遠ざけることができます。
保護命令には次の4つがあり、加害者が命令にそむけば、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。

(1)あなたへの接近禁止命令(有効期間6か月)
被害者につきまとったり、被害者の自宅や勤め先の近くをうろつくことを禁止します。
(2)あなたの子どもや親族への接近禁止命令(有効期間6か月)
あなたへの接近禁止命令をたしかなものにするため、あなたのお子さんや親族の身辺をうろつくことも禁止します。
(3)電話 等禁止命令(有効期間6か月)
これも、あなたへの接近禁止命令をより確実ななものにするための命令です。
加害者は、あなたに対し面会を要求したり、無言電話や緊急時以外の連続した電話、ファックス、電子メールをしてはいけません。
監視していることを告げる行為も禁止されますし、名誉を傷つける発言や乱暴な物言いなどもすべて禁止されます。
(4)退去命令(有効期間2か月)
あなたの自宅から加害者を退去させる命令です。

 

保護命令とは

保護命令の対象になるのは「配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫」である。
「生命等に対する脅迫」とは、「被害者の生命又は身体に対し害を加える旨を告知し脅迫する」事をいう。
つまり、「これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」は対象ということである。
この法律にいう「配偶者」には、「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」(いわゆる事実婚の状態にある者)も含まれる。
また、離婚後も引き続き暴力を受ける恐れがある事例もあることに鑑み、離婚後又は婚姻取消後であっても、当該配偶者であったものから引き続き更なる暴力を受ける恐れが大きい場合は、保護命令の対象になる。
また、2014年1月3日から施行された改正法により、「生活の本拠を共にする交際をする関係にある相手」からの身体に対する暴力についても法律を準用することとなった。
単なる恋人からの暴力(デートDV)は保護命令の対象にはならない。
また、「配偶者」は男女の別を問わず、夫から妻に対する暴力や脅迫があった場合はもちろん、妻から夫に対する暴力や脅迫についても保護命令の対象となる。

 

DV防止法成立と法改正の流れ

□2001年(平成13年)4月6日DV防止法成立、同年4月13日に公布、10月13日施行。

□2002年(平成14年)4月1日  配偶者暴力相談支援センターに関する規定が施行。

□2004年(平成16年)6月2日 改正法公布、同年12月2日に施行。
DVの定義を精神的暴力を含むものに拡大し、離婚後・婚姻取消後に引き続き受ける身体に対する暴力を追加。
加害者が被害者とともに生活の本拠としている住居の周辺をはいか いする行為の禁止を退去命令の対象に追加。
子に対する接近の禁止命令・再度の申立ての制度を追加。

□2007年(平成19年)7月6日 改正法公布、2008年(平成20年)1月6日施行。
生命又は身体に危害を加えるような脅迫を受けた被害者を保護命令の申立ての対象に追加。
加害者に対し保護命令の効力が生じた日から六月間つきまとい行為をしてはならない命令をする制度を追加。
被害者の親族等の住所等においてその親族等の身辺につきまとい、又はその親族が通常所在する場所の付近をはいかいしてはならない命令をする制度を追加。

□2013年(平成25年)7月3日 改正法公布、2014年(平成26年)1月3日に施行。
生活の本拠を共にする交際相手からの暴力及びその 被害者についても、配偶者からの暴力及びその被害者に準じて、法の適用対象とされた。

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