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タイプ別DV加害者の特徴「プレイボーイ」タイプ

「プレイボーイ」タイプ

「プレイボーイ」はたいていハンサムでセクシーです(そう自分で思っているだけの事もあり)
付き合い始めたばかりの頃はあなたに首ったけのように見え、できるかぎり多くの時間をあなたとベッドで過ごしたがりますし、セツクスも上手でしよう。
自分を夢中にさせてくれる男性をつかまえてラッキーだと感じるかもしれません。
彼とー緒にいるところを人に見られると自慢に思うかもしれないし自信も高まるでしよう。
しかししばらくすると、彼のいくつかの点が気に障り始めます。
あなたに対してセックス以外は興味を示さなくなり、彼の性的エネルギーさえも衰え始めたことに気づくでしよう。
そして道を歩く女性たちをジーッと目で追うなどします。
ウエイトレスや店員やあなたの友人の気まで引こうとします。
彼が全く魅力を感じない女性を除いて、ほとんどの女性との彼のやりとりには性的なものが感じられるでしよう。
彼が他の女性とー緒のところを目撃したとか、その女性と関係を持っているらしいとか、もう一人別の女性を口説こうとしているなどの噂があなたの耳に届き始めます。
あなたは最初のうちは、これらを意地悪な噂だと無視しますが、しばらくすると怪しく思い始めます。

 

「プレイボーイ」は初めのうちは早く深い仲になりたがるのに、一緒に住む事や、他の人とは付き合わない事に同意しなければならなくなるとよく言葉を濁し始めます。
過去に傷ついた経験があるとか、本気で付き合うのが怖いと言う事もあるでしよう。
しかし実際には、自分の自由が制限されるのが嫌なのです。
このタイプの男性は、女性を利用して自分は野性的でセックスアピールのある人間だと感じることから、人生における喜びの多くを得ています。
「プレイボーイ」のまわりにいる女性たちは、彼にではなくむしろお互いに腹立たしさを感じている事がよくあり、つかみ合いのケンカになるこもときどきあります。
こういった女性同士の対立関係は、彼自身の不貞や不誠実さからまわりの注意をそらしてくれるので「プレイボーイ」にとっては都合がよいのです。

 

このタイプの男性は次の手口をいくつか混ぜ合わせて使うことで、そのような対立関係を作り出します。

もしあなたの相手がこのタイプであれば、他の女性と本当に性的関係を持っているのか、それともあなたの注意をひく事に快感を覚えあなたを不安にさせるのが好きなだけなのか、ハッキリさせるのは難しいでしょう。
浮気は一度もした事がないと激しく否定し、立場を逆転させて、あなたは疑り深いと言って責めるかもしれません。
しかしウソをついていないとしても(多分ウソをついていますが)注意を引こうとする行動を常にとるのは、浮気をするのと同じぐらい破滅的な行動です。
事実がどうあれ、あなたは女性なら誰でもライバル視するようになるでしょうから、あなたの交友関係にヒビが入ります。
あなたにとって大切な女性を彼が口説こうとした事が過去にあるのなら、姉妹や親友などー番大事にしている女性たちからあなたが孤立してしまう恐れがあります。
彼女たちを彼から引き離しておかなければ、また浮気をされてしまうのではないかと不安に思うからです。

 

慢性的な不貞はそれ自体が虐待行為です。
しかし「プレイボーイ」はそれだけでは終りません。
責任感がなく、相手の女性の感情に鈍感で、言葉の暴力も定期的に使います。
時間が経つにつれて長いこと相手のことを気にかけなくなったり、ほとんど無視して話もしなくなったりするので、彼が自分の事をもう親密な相手としては見ていないような感じがしてきます。
恐らく安全なセックスをする責任(コンドームを使用すること等)も怠るでしよう。
すでに子どもの父親となっていても、養育費を払っていないかもしれません。
不貞を問い詰められたり見つかったりすると、虐待が突然エスカレートし、それをきっかけに身体的暴力を振るうようになる事もあるでしよう。
奇妙でなおかつ危険なねじれ方ですが、「プレイボーイ」は相手の浮気を発見して暴力を振るうのではなくて、逆に自分の浮気をあばいたからといって暴力を振るうのです。

 

常に女性の気を引こうとする行動や浮気のせいで、「プレイボーイ」の他の虐待行為は見逃されてしまいます。
相手の女性は、彼の不貞に傷つく気持ちにのみ注意が向くので、彼の気持ちが他の女性に向かないようよう力を注いでしまうでしょう。
その過程で「プレイボーイ」の虐待の手口が見えなくなってしまうのです。
例えば、結婚すれば彼は身を落ち着けて浮気しなくなるかと女性に聞かれたら、私はこう答えます。
「そのような日がいつか来るかもしれませんが、その時にあなたの元にいるのは貞節なDV加害者ですよ」
見境のない性行動は、もっと根深い問題の表れです。
女性を人として尊重すべきだという事が分からず、遊びの対象としてしか見ていません。
このような態度では、浮気をしようがしまいが、彼が破滅をもたらす相手である事に変わりはありません。

「プレイボーイ」たちは時おり、セツクス依存症の問題を抱えていると言います。
しかしセックス依存症が、不誠実さや言葉の暴力や虐待を引き起こす事はありません。
「プレイボーイ」はセックスがやめられないのではありません。
やめられない事があるとすればそれは、どのような影響を与える事になるかも考えずに女性を利用してスリルを楽しむ事です。

 

「プレイボーイ」タイプの主な考え方

・女がこの世に存在するのは、男と、特に僕とセックスをするためだ。
・セックスをしたがる女性はだらしがなさすぎるし、セックスを拒杏する女性は堅苦しすぎる。
・女性が僕に引きつけられてしまうのは、僕のせいではない。
僕のまわりは誘惑だらけなのだから、それを僕に拒否しろと言われてもそれは不公平な話だ。
時おり女性に誘惑されてしまうけれど仕方がないだろう。
・俺に何かを求めるようなそぶりを見せたら、俺はお前を無視する。
お前と関係を持つのは、俺の都合がよくて俺の気が向いた時だ。
・性的な面以外を評価してほしいと言う女は最低だ。
・君が私の性的欲求を全部満たしてくれれば、他の女性とする必要はないんだ。

 

 

〈出典:DV・虐待加害者の実体を知る/ランディ・バンクロフト/監訳 高橋睦子 中島幸子 山口のり子/出版 明石書店〉

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