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タイプ別DV加害者の特徴「繊細そうな男」タイプ

「繊細そうな男」タイプ

「繊細そうな男」は、虐待をしていない間は「鬼軍曹」とはまったく正反対のように見えます。

話し方が優しく、穏やかで、励ましてくれたりします。
感情を表現する言葉が好きで、心配ごとや恐れや心の傷を隠さず分かち合ってくれます。
戦争の不条理さや、男性が自分の中の「女性的な優しい面」を育てる必要があると言い出すかもしれません。
心理カウンセリングを受けた事があったり、主な自己啓発本には全て目を通していたりするので、一般向けの心理学や自己分析の用語を使います。
心の距離を近づける、お互いの溝を埋める、自分の見たくないところを直視するなどの言い回しを話にちりばめます。
自分は性別役割の縛りと闘う同志だというような顏を女性に見せます。
こんな男性と出会えて夢が叶ったように感じる女性たちもいるでしよう。

 

それではー体どこがおかしいのでしようか。
ここまでの説明では特に問題は見えません。
しかし、これこそがまさに問題なのです。
「繊細そうな男」は、DV加害者が手にする仮面の中で最も説得力のあるもののーつをかぶっています。
このような男性から慢性的に不当な扱いを受けているように感じ始めた女性は、自分に何か問題があると思い込むでしよう。

そして他の人に不満を打ち明けると、その人たちは贅沢だと考えてこんな事をあなたに言うかもしれません。
「彼は新しい時代の男性なのよ。それでもあなたは不満なの?」

「織細そうな男」は、口ではいくら非暴力を唱えていても、他の虐待をする人たちと同じように身体的な脅しをする可能性を持っています。
彼は暴力的な行為をしたあとで、虐待と怒りはまったく別物であるにもかかわらず、虐待ではなくて怒りだと主張するでしょう。
あまりにも傷ついてしまったので仕方なかったと言って、その暴力行為をあなたのせいにしたり、感情的な「問題」のせいにしたりします。
「繊細そうな男」が虐待をする可能性のある事を、多くの人は信じません。

 

紳士のように穏やかなこのタイプの人は非常に自己中心的で、自分が嫌な思いをしないように相手が気配りする事を要求します。
晩ごはんの準備が遅れたからと言って怒り出すタイプではないでしよう。
むしろ相手の女性が彼女自身の二ーズや興味を犠牲にして、自分を満たし続けてくれて当然だと考えており、その期待に反したからと言って怒り出すタイプです。
自分が残した破滅的な行為の痕跡に気づかれないように、自分がいかに傷つきやすい人間であるかを誇張します。

 

「繊細そうな男」タイプの主な考え方

・僕はマッチョなたくましいな男性はよくないと思うから、虐待的であるわけがない。
・「心理療法用語 」をたくさん使えば、私が君を虐待しているとは誰も信じようとしないだろう。
・君の考え方や感じ方や子供の頃の事を分析すれば、君をコントールできる。否が応でも君の頭の中の考えを操ってやる。
・私の感情ほど大事なものはこの世にない。
・僕が他の男性とは違う事を彼女は感謝すべきだ。

 

 

〈出典:DV・虐待加害者の実体を知る/ランディ・バンクロフト/監訳 高橋睦子 中島幸子 山口のり子/出版 明石書店〉

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