「常人逮捕」とは一般人による現行犯逮捕の事で「私人逮捕」とも言います。
常人逮捕は、刑事訴訟法213条の「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」の規定により行うことができます。
また、逮捕した後は「直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない」とも規定されています。
簡単に言いますと、目の前で犯罪が起きた時、現行犯であれば一般の方(私人)でも逮捕をすることができるという決まり事です。
常人逮捕の例としては、痴漢の被害者が加害者を取り押さえるケース、スリの現行犯を目撃した人が取り押さえるケース、目の前で暴行事件や強盗に遭遇して警察到着の時間に間に合いそうもなく緊急性が高いケースなどです。
ただ、私人逮捕に関してのいくつかの条件もあり、行き過ぎた対応をしたり、その後の対応を間違えてしまうと、捕まえた本人が罪に問われる事もあります。
条件に沿わずに逮捕をしてしまうと、逮捕した本人が逮捕罪に問われたり、行き過ぎた取り押さえによる暴行罪、正当な理由なくして司法警察員への引き渡しが遅れてしまうと逮捕監禁罪に問われる可能性があります。
私人逮捕を行うには次の条件を満たす必要があります。
- 犯人が現行犯人、準現行犯人である場合。(これは、現行犯人が現に犯行を行っているか行い終わったところであるため、逮捕して身柄を確保する必要が高い上に、誤認逮捕のおそれがないため)
- 30万円以下の罰金、拘留、科料にあたる軽微な罪の場合(刑法では、過失傷害罪や侮辱罪)は、犯人の住所、氏名が明らかでなく、又は犯人が逃亡する恐れがある場合。
※準現行犯とは「犯行現場は目撃していないが状況的に見てどう見てもその人が犯人」という場合の事。