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「共依存」の心理

投稿日:2018年10月21日

難しい問題なので、非常に長くなります。

 

DV加害者 被害者の心理を語る上で よく出てくるキーワードが『共依存』です。
配偶者やパートナーからDVを受けていながら なかなか離れる事のできない人は『共依存』の関係に陥っている可能性があると言えます。

 

DV被害者が加害者から逃げない理由には いくつかの心理的要因があります。
相手への未練、逃げたら仕返しをされるという恐怖心、経済的な問題、「自分が悪いから暴力を振るわれる」という思い込み(洗脳)などがありますが、その中でも最も深刻なのが『共依存』です。

 

 

【加害者への視点】

 

DV加害者となる人間は 独占欲が強く 嫉妬心が強い人が多く、自分の存在を相手よりも優位に置きたいため 相手を暴力によって支配し優越感を得ようとします。

 

しかしその反面 常に相手がいなくなってしまうのではないかという猜疑心、相手を失う事に対する恐怖心を抱いており、それが逆に暴力的な行動として表れるのです。
動物の威嚇行動が「怯えから」なのと同じように、相手に対して攻撃的になり「暴力で支配して縛りつけよう」とするのです。

 

加えて、ストレスのはけ口として暴力自体に快感に得ているケースもあり、その場合も暴力は徐々にエスカレートしていきます。

 

加害者が相手に暴力を振るうのは、被害者に対して歪んだ愛情があり「被害者に強く依存している」からだと言えます。

 

「暴力も愛情表現のひとつ」「暴力を振るう事を含めて愛」だと思い込んでおり、実際にその相手を愛していて、離れる事など決して考えられません。
(ここが「相手を疎ましく思って行うDV」とは大きく異なる点です)

 

 

DV加害者は いつも暴力を振るうわけではなく、以下の3つの状態を繰り返します。

 

① 加害者のイライラが溜まる緊張状態
加害者は些細なことでもイライラが溜まっていき、言動が荒くなっていきます。
そしてその結果、被害者の緊張も高まっていく状態です。
② 暴力を振るう状態
加害者のイライラがピークに達して怒りが爆発し、被害者に対して激しく暴力を振るいます。
③ 謝罪や愛情表現をする状態
『ハネムーン期』と呼ばれるもので、DV加害者は暴力を振るった後 一転して被害者に対して「過剰なくらい優しく」接します。
「俺が悪かった」「もう二度としない」「俺はお前がいないとダメなんだ」と大げさに謝罪をし、愛情を表現をします。

 

しかしまたすぐにイライラが溜まり、また最初から同じ事を繰り返し、それが無限のループとなっていきます。
その際「また同じ程度の暴力を振るっても、あまり効き目がなくなる」という思考から、その暴力形態は回を重ねる毎にエスカレートしていく事になります。

 

 

【被害者への視点】

 

被害者は、過度な精神的緊張状態や酷い暴力を受けていても「ハネムーン期に加害者から受ける優しさ」によって離れられません。

 

元々好きな相手でもあるので「暴力を振るうけど、実は優しい人で、私を愛してくれている」と感じてしまい、好きであることが揺らがず「暴力を振るわれている間だけ我慢すればいい」とさえ考えてしまいます。

 

弊社にご相談に見えた被害者の方で「どっちが本当の彼か分からなくなる時もあるけど、本当は優しい人なのは知っている。そのギャップもまた堪らないんです」と仰った方もおられました。

 

これは 暴力の恐怖と苦痛から急に優しくされることで、完全に感覚が麻痺し 正常な判断ができなくなっている状態です。
そして、
「自分が彼の事を支えてあげないといけない」
「自分がいないとこの人はダメになる」
「彼には私しかいない」
「この暴力を受け止める事こそが私の使命だ」
「私が彼を立ち直らせる。そしたら暴力もなくなる」
と本気で考えてしまい、そこに自分の存在価値を見出そうとしてしまいます。

 

つまり被害者は「私は彼のそばにいなければいけない」と思い込む「依存状態」になってしまっており、こうした被害者の心理がさらに加害者のDVを増長させていく事になります。

 

自分の認知を歪めて、暴力を受け止める自分は相手にとって必要な存在なのだという心理状態を作り上げる事こそ、自分自身の存在価値を相手に委ね「依存している」という事になります。

 

 

【両者への視点】

 

このように お互いがお互いに依存している状態が『共依存』です。
『共依存』の状態になると、このようにお互い相手に依りどころを求めているので「別れる」という思考には至りません。

 

こうした『共依存』の関係は 不適切な状態を長引かせ、更にDV行為を加速させ、最終的には命の危険に晒される事にもなりかねません。

 

『共依存』に陥ってる人がDV加害者から離れる事は「自分の存在価値が無くなってしまう」という心理にもつながり、喪失感、失望感、脱力感に襲われるので とても苦痛を伴うものとなります。

 

 

一方で 加害者も被害者に強く依存しているので絶対に手放したくはありません。
もはや愛情とはかけ離れたもので、自分が支配している対象を失う事が耐えられません。

 

そのような心理状態や、経済的理由、「気付かせてくれる人がいない」現状などが『共依存』から脱却できない最大の要因となっています。

 

普通の人が見ると何をどう考えてもそうは思えない状況なのですが、両者とも真剣に
【自分も相手を愛して(必要として)いるし、相手も自分を愛して(必要として)くれている】
と強く思い込んでいます。

 

双方がそれを「乗り越えなければならない試錬」だと捉えているところがあり、被害者側も多少「おかしいな」とは思いながらも、このような事がある度に逆に絆を深めていくような側面があります。

 

 

【共依存からの脱却】

 

加害者から逃げる事による報復の恐怖や 経済的な問題だけなら、シェルターなどに避難して新しい生活を始める準備もできますので、「別れる」決断をするのはそこまで難しくはないでしょう。

 

しかし共依存に陥っている場合「自分の体が傷つく事よりも加害者への依存を選んでしまっている」状態ですので、そう簡単には別れる決断はできません。

 

こういう被害者をDVから抜け出させるためには、「自分の体が傷つく事」と「加害者と一緒にいる事」を天秤にかけさせて「自分の体を守る」事を選ばせないとなりません。

 

共依存から抜け出すのは大変な事ですが、まず自分が置かれている状況を客観的に見る事のできる状況を作ってあげて下さい。
自分が今まで受けてきた暴力の数々を思い起こさせ、それは不適切な関係であるという事を気付かせる事、その自覚や認識をさせる事が重要です。

 

しかし自らの依存を断ち切って別れる決断をするのは、本人にとっては非常に辛い事です。
家族や友人などの近い間柄の人からの説得だと、感情的になり 全く聞き入れないというケースが多いようです。
かと言って、共依存状態の人は 警察や弁護士への相談も 決して受け入れません。

 

専門のカウンセラーにカウンセリングを受ける事を強くお勧めしますが、あくまでも「自分に合った」「力量のある」方に依頼をする必要があります。

 

 

もし 被害者が異常な状態である事に気づき、脱却の決意ができた場合は、最も気をつけなければならないのが「加害者からの逆恨み」です。

 

もし被害者がいなくなれば、それこそ血眼になって探し出そうとして、居場所が分かれば執拗に追いかけてきます。
もし逃げた被害者が加害者に見つかってしまえば、非常に危険な状態になる事は容易に想像できるでしょう。
悪質なストーカーになったり、周りの家族に危害を加えたり、捨て身の攻撃を加えてくる可能性もあります。

 

最悪は命の危険も出てきますので、安全の確保が最も重要になってきます。

 

 

【弊社の対応】

 

このような『共依存関係』に陥っている場合、弊社では双方が揃った状態でのカウンセリングをさせていただいております。

 

まず それぞれお互いがいない状況で、被害者 加害者別々にカウンセリングを行い、それぞれの考え方や言い分をお伺いします。
事前にお互いの考えをキチンと聞いておく事はとても重要で、大概が大きく主張が異なってきます。

 

それを元に現状を分析し、どのように持っていくかある程度の道筋を定めた上で、更に双方が揃っている状態でカウンセリングを行います。
この時点で 加害者に対しても、間違えを犯している事をすり込むのと同時に洗脳も始めます。

 

これによって全ての問題点をあぶり出し、その後の方針を決定します。
共依存ともなるとそれなりに根は深いので、一度のカウンセリングで全て解決する事は望めません。

 

その後やるべき事は
◾️ 被害者に 今の状態は異常である事、自身は犯罪被害者である事を気づかせる
◾️必要とあらば、再度双方が揃った状態でカウンセリング
◾️被害者の共依存状態からの脱却
◾️実際に相手から離れる時に備えて、DVの証拠の取得
◾️「DV被害」の通知・認知(既成事実の作成)
◾️「加害者から離れる」の決行(必要とあらば、決行日はお付き添いさせていただきます)

 

この六つを順次、もしくは並行して行っていく事になります。

 

どのくらい時間が掛かるのかは本人たち次第ですが、きっと共依存からの脱却に成功させる事ができると思います。

 

 

いざ離れてしまえば、時間が経つにつれ徐々に冷静になり、今までの関係が不適切であった事、加害者なしでも生きていける事を認識する事は間違えないと思います。

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