代表のブログ

「貞操権侵害」と「結婚詐欺」

投稿日:2018年01月31日

既婚者であることを隠されて交際し、その相手と性的関係を持っていたときには、相手から貞操権を侵害されたとして相手に不法行為が認められることがあります。
また相手が既婚者であると知っていたとしても、離婚協議中だから離婚したら結婚すると騙されて性的関係を持っていた事情があり、相手側の違法性が著しく大きければ不法行為が成立することがあります。
貞操権の侵害があれば慰謝料を請求できます。

 

例えば、男性が結婚をほのめかしていた、女性が若年(未成年など)で思慮が十分でない、男性から積極的に交際を持ちかけた、男性にとって所謂「遊び」であったなどの男性側の違法性が判断要素となっています(最判昭和44年9月26日参照)。
交際期間も関係し、1年間の交際期間があるのであれば、思料が十分な成人なら既婚者であることを知ることができたであろうと推認されることが多いです。

 

対して「結婚詐欺」とは、結婚する意思がないにも関わらず結婚を餌にして異性に近づき、相手を騙して金品を巻き上げたり返済の意志もないのに金品を借りたりし、異性の心身を弄ぶ行為です。
代表的な手口として、「結婚前に清算しなければならない借金がある」「結婚を機に独立するつもりなので開業資金が必要だ」「株や先物取引で失敗して金が必要」「親が事故で…」や、投資の儲け話などの作り話で金品を騙し取ります。

ですから既婚者であったり結婚の意思がなかったとしても、金品を取られて(貸したのに返してくれない状態も含む)いなければ、いわゆる「結婚詐欺」にはあたりません。

 

また、不倫のように互いに相手の立場を分かった上で男女関係を持つときには、不倫した当事者の間には損害賠償義務が原則として発生しません。
法律上で不法行為になる事を男女ともに知っていながら性的関係を結んだため、その男女関係の解消については法律で保護される対象にはならないのです。

 

結婚する意思もないのに結婚をしようと申し込まれたり、結婚をちらつかせて肉体関係を継続した場合は、婚約が成立していないので婚約破棄での請求は難しいですが、貞操権の侵害や人格権の侵害を理由に相手の男性に慰謝料を請求できる余地があります。

 

しかし「結婚する意思がなかった」事を証明するのは大変難しく、ここで「証拠収集能力」が非常に大切になります。

ブログ一覧に戻る
ページ先頭へ戻る