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「中華そば 江ぐち」

投稿日:2020年09月22日

私は 結構全国でラーメンを食べていますが、やはり私の地元 三鷹にあった「江ぐち」のラーメンは、現在も他のラーメンの追随を許しません。
ブッチギリの断トツです。

 

注文してから出てくるまでの あの独特の緊張感 ワクワク感は、未だに他の料理店では味わった事がなく、平気な顔をしているのが大変なくらいでした。

 

常連の客などは 店に入った瞬間のオヤジの「いらっさい」という挨拶から、ビール&チャーシュー皿、オヤジの湯切り、何故か塩のフリをした味の素をふりかける手さばき、オヤジの親指を入れられて供されるラーメン、会計時のオヤジの「どーもどーも」までの全ての一連の流れを楽しんでいます。

 

その〝域〟まで達すると 他のお客からも一目を置かれる(表面上は知らんぷりです)のですが、残念ながら私はそこまでには至りませんでした。

 

そのような感じなので お客同士にもある種のライバル心のようなものがあり、ツウな(玄人好みの)注文の仕方などをすると、必ず目をキラリと光らせて「お主 なかなかやるな」的な目を向ける人がいます。

 

中には 江ぐちのラーメンに決闘を挑む侍のような 只者ではない雰囲気を漂わせている人もいましたが、お客の「江ぐちのラーメンに対する挑み方」みたいなものを見ているだけでも楽しかったものです。

 

 

「ノロイさん」「ヒヨコさん」「ドワルスキーさん」(全て私が命名)の三人が奏でるラーメン協奏曲は、その一見コミカルとも思える動きと共に 見事な芸術品とも言えました。

 

糸井重里さんが大ファンであった事は有名ですが、【 小説 中華そば「江ぐち」】
【 孤独の中華そば「江ぐち」 】
【 近くへ行きたい。秘境としての近所〜舞台は〝江ぐち〟というラーメン屋 】
という三冊の本までもが出版されています。

 

味が絶品である事は言うまでもありませんが、私はこれ以上美味いラーメンには もう二度と出会えないであろうと諦めています。

 

もちろん主役は ノロイさんでありヒヨコさんなのですが、お客も演者の一人になれるような 不思議な空間のラーメン屋さんでした。

 

 

経営者の死去に伴い、多くの人に惜しまつつ「江ぐち」は閉店してしまいました。

 

しかし 私の中学の後輩にあたる〝橋本君〟が「江ぐち」の味を引き継ぎ「中華そば みたか」と店名を変えて その〝名残〟を残しています。

 

 

 

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