交渉同席などについて

「共依存」

配偶者やパートナーからDVを受けていながら なかなか離れる事のできない人は『共依存』の関係に陥っている可能性があると言えます。

 

DV被害者が加害者から逃げない理由には いくつかの要因があります。
相手への未練、逃げたら仕返しをされるという恐怖心、経済的な不安、行くアテがない、自分が悪いから暴力を振るわれるという思い込み(洗脳)などがありますが、その中でも一番深刻 且つ抜け出すのが難しいのが『共依存』です。

 

 

【加害者の心理】

 

DV加害者となる人間は独占欲が強く 嫉妬心が強い人が多く、自分の存在を相手よりも優位に置きたいため 相手を暴力によって支配し優越感を得ようとします。

 

しかしその反面 常に相手がいなくなってしまうのではないかという猜疑心、相手を失う事に対する恐怖心を抱いており、それが逆に暴力的な行動として表れる面もあります。

 

加害者が相手に暴力を振るうのは、被害者に対して歪んだ愛情があり「被害者に強く依存している」からだと言えます。

 

「暴力も愛情表現のひとつ」「暴力を振るう事を含めて愛」だと思い込んでおり、実際にその相手を愛していて、離れる事など決して考えられません。
(ここが「相手を疎ましく思って行うDV」とは大きく異なる点です)

 

 

DV加害者は いつも暴力を振るうわけではなく、以下の3つの状態を繰り返します。

 

① 加害者のイライラが溜まる緊張状態
加害者は些細なことでもイライラが溜まっていき、言動が荒くなっていきます。
それと同時に 被害者の緊張も高まっていく状態です。
② 暴力を振るう状態
加害者のイライラがピークに達して怒りが爆発し、被害者に対して激しく暴力を振るいます。
③ 謝罪や愛情表現をする状態
『ハネムーン期』と呼ばれるもので、DV加害者は暴力を振るった後 一転して被害者に対して「過剰なくらい優しく」接します。
「俺が悪かった」「もう二度としない」「俺はお前がいないとダメなんだ」と大げさに謝罪をし、愛情を表現をします。

 

しかしまたすぐにイライラが溜まり、また最初から同じ事を繰り返し、その暴力形態は回を重ねる毎にエスカレートしていく事になります。

 

 

【被害者の心理】

 

被害者は、過度な精神的緊張状態や酷い暴力を受けていても「ハネムーン期に加害者から受ける優しさ」によって離れられません。

 

元々好きな相手でもあるので「暴力を振るうけど、実は優しい人で、私を愛してくれている」と感じてしまい、相手を好きであることが揺らがず「暴力を振るわれている間だけ我慢すればいい」とさえ考えてしまいます。

 

これは 暴力の恐怖と苦痛から急に優しくされることで、完全に感覚が麻痺し 正常な判断ができなくなっている状態です。
そして、
「自分が彼の事を支えてあげないといけない」
「自分がいないとこの人はダメになる」
「彼には私しかいない」
「この暴力を受け止める事こそが私の使命だ」
「私が彼を立ち直らせる。そしたら暴力もなくなる」
と本気で考えてしまい、そこに自分の存在価値を見出そうとしてしまいます。

 

つまり被害者は「私は彼のそばにいなければいけない」と思い込む「依存状態」になってしまっており、こうした被害者の心理がさらに加害者のDVを増長させていく事になります。

 

 

【双方の心理】

 

このように お互いがお互いに依存している状態が『共依存』です。

 

『共依存』に陥ってる人がDV加害者から離れる事は「自分の存在価値が無くなってしまう」という心理にもつながり、喪失感、失望感、脱力感に襲われるので とても苦痛を伴うものとなります。

 

一方加害者も、被害者に強く依存しているので絶対に手放したくはありません。
もはや愛情とはかけ離れたもので、自分が支配している対象を失う事が耐えられないのです。

 

そのような心理状態や、経済的理由、「気付かせてくれる人がいない」現状などが『共依存』から脱却できない最大の要因となっています。

 

普通の人が見ると何をどう考えてもそうは思えない状況なのですが、両者とも真剣に
【自分も相手を愛して(必要として)いるし、相手も自分を愛して(必要として)くれている】
と強く思い込んでいます。

 

双方がそれを「乗り越えなければならない試錬」だと捉えているところもあり、被害者側も暴力を振るわれる度に「おかしいな」とは思いながらも、逆に絆を深めていくような側面があります。

 

 

【共依存からの脱却】

 

加害者から逃げる事による報復への恐怖や 経済的な問題だけなら、シェルターなどに避難して新しい生活を始める準備もできますので、「別れる」決断をするのはそこまで難しくはないでしょう。

 

しかし『共依存』に陥っている場合「自分の体が傷つく事よりも加害者への依存を選んでしまっている」状態ですので「自分の体が傷つく事」と「加害者と一緒にいる事」を天秤にかけさせ「自分の体を守る」方を選ばせないとなりません。

 

共依存から抜け出すのは大変な事ですが、まず自分が置かれている状況を客観的に見る事のできる状況を作ってあげる事が大切です。
自分が今まで受けてきた暴力の数々を思い起こさせ、それは不適切な関係であるという事を気付かせる事、その自覚や認識を持たせる事が一番重要です。

 

しかし 自らの依存を断ち切って別れる決断をするのは、本人にとっては非常に辛い事です。
家族や友人などの近い間柄の人からの説得だと、逆に感情的になり 全く聞き入れないというケースが多いようです。

 

当然 警察や弁護士への相談も拒否します。
よって 専門のカウンセラーのカウンセリングを受ける事を強くお勧めしますが、あくまでも「自分に合った」「力量のある」方に依頼をしなければ 全く無意味なものとなってしまいます。

 

 

【最も気をつけなければならない事】

 

もし 被害者が異常な状態である事に気づき、相手から離れる決意ができた場合、最も気をつけなければならないのが「加害者からの逆恨み」です。

 

もし被害者がいなくなれば、それこそ血眼になって探し出そうとして、居場所が分かれば執拗に追いかけてきます。

 

もし逃げた被害者が加害者に見つかってしまえば、非常に危険な状態に陥る事は容易に想像ができると思います。
極めて悪質なストーカーになったり、周りの家族に危害を加えたり、捨て身の攻撃を加えてくる可能性もあります。

 

最悪は命の危険も出てきますので、事前に身の安全の確保をする事が最も重要になってきます。

 

 

【弊社の対応】

 

このような『共依存関係』に陥っている場合、弊社ではまず 双方が揃った状態でのカウンセリングをさせていただいております。

 

最初はそれぞれお互いがいない状況で、被害者 加害者別々にカウンセリングを行い、それぞれの考え方や言い分をお伺いします。
事前にお互いの考えをキチンと聞いておく事はとても重要で、大概が大きく主張が異なってきます。

 

それを元に現状を分析し、対処方針をある程度の定めた上で、更に双方が揃っている状態でカウンセリングを行います。
この時点で加害者に対しては、間違えを犯している事の「刷り込み」「洗脳」も開始します。

 

これによって全ての問題点をあぶり出し 最終的な方針を決定しますが、共依存ともなるとそれなりに根は深いので、一度のカウンセリングで全て解決する事は望めません。

 

その後やるべき事は
◾️ 被害者に 今の状態は異常である事、自身は犯罪被害者である事を気づかせる
◾️必要とあらば、再度双方が揃った状態でカウンセリング
◾️被害者の共依存状態からの脱却
◾️実際に相手から離れる時に備えて、DVの証拠の取得・保全
◾️「DV被害」の通知、被害の実績作り
◾️「加害者から離れる」事の決行(必要とあらば、決行日はお付き添いさせていただきます)

 

この六つを順次、もしくは並行して行っていく事になります。

 

どのくらい時間が掛かるのかは 本人たち次第の面もありますが、必ずや『共依存』からの脱却に成功させる事ができると思います。

 

 

 

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