交通事故トラブルについて

「過失割合」

「過失」とは「不注意で起こしてしまった過ち」の事ですが、交通事故で使われる「過失割合」とは、事故の原因や責任の割合のことを指します。
事故が起きると加害者と被害に分けられますが、加害者が100%悪いケースもあれば被害者にも少なからず過失がある場合もあります。
そこで問題を解決するために、事故の原因や責任を「過失割合」という数字の割合にする手続きがとられます。
そして、この過失割合の大小により損害賠償金が変わってくるのです。

 

例えば、信号待ちで停車していた車に後方からわき見運転していた車が衝突した場合、後方から衝突した車に事故の全責任があるとされ過失割合は100対0と判断されます。
そして加害者と被害者の過失割合を「100対0」といった数値で表されます。(一般的に左辺に加害者、右辺に被害者を数値で表します)
この過失割合は、損害賠償金を決める大きな要因の一つとなり、被害者の過失割合の数値が低ければ低いほど被害者が受け取れる損害賠償金は多くなります。

 

□警察ではなく保険会社が決定している

過失割合を決めるのは警察ではありません。
交通事故直後に警察が現場に到着し実況見分を行い、供述調書を作成し、交通事故証明書の内容を決定づけるのですから警察が決めているのではないかと考えがちですが、通常「過失割合」は、過去の判例などを元に当事者の保険会社が協議して決定するのが一般的です。
事故の連絡をした際は警察官が現場確認と当事者からの状況確認を行い、事故の事実を記録してくれます。
しかし、過失割合の決定は民事上の「民事不介入の原則のルールがあるため、警察が介入することはありません。
各当事者が民事的に解決すべき過失割合の決定については判断できないのです。
警察が行うのはあくまで事実を記載する実況見分調書の作成のみと考えて下さい。
過失割合については、警察作成の実況見分調書や実際の事故現場の状況を考慮し、当事者双方(実質はその加入する保険会社)が話合って、合意するのが通常です。

 

□保険会社の決定する過失割合の根拠と信用度は低い

交通事故における過失割合の決定は、警察ではなく保険会社が決めているのですが、保険会社の人間も交通事故に詳しいというだけで、警察にある過去の交通事故判例などと事故を照らし合わせて、過失割合の数字を事務的に決めている事が多いです。
保険会社は、警察の実況見分調書の確認、加害者からの事故状況のヒアリング、判例、自社の算定基準などをもとに過失割合を算出して被害者に対して提示します。
しかし、保険会社が見ているのは過去に起きた交通事故の判例で、裁判所が過去に判定した過失割合ですから一見すると適正な資料とも言えますが、実質過去の判例と全く同じ事故なんてありません。
よって、「よく似た判例」を探して出して当てはめているだけで、その判例で決定された過失割合にもバラつきがあったりするで、保険会社から提示される過失割合は「保険会社にとって都合が良いもの」だと思っていいでしょう。

 

□過失割合は示談交渉の最初の重要なポイント

保険会社との示談交渉では、損害賠償額を左右する重要な交渉のタイミ ングとポイントがいくつかあります。
「過失割合」、「症状固定」、「通院打ち切り」、「後遺障害認定」などがそのポイントになります。
このタイミングがくると、保険会社は慰謝料・賠償額を少なくするために、被害者に対して強引な交渉をしかけてくることが一般的です。
特に「過失割合」は事故の責任がどちらにあるかを決める重要な交渉事ですので、保険会社の主張が少しでもおかしいと感じたら妥協すべきではありません。
非を認めることはすなわち損害賠償額が少なくなりますので、ご自身の主張をしっかり認めさせる必要があります。
保険会社から「過失割合」の提示を受けて、そこで疑問を持ったら弁護士にすぐに相談するのが得策なのですが、被害者の多くが「こんなものか」と交渉を諦めてしまっている現状があります。
過失割合で困ったら迷わず弁護士に相談するのが得策です。

 

□過失割合の提示を受けたら疑ってみる

保険会社の過失割合の考え方は説明した通りで、できるだけ損害賠償金を払いたくないというのが基本的なスタンスです。
ですので、保険会社から過失割合の提示を受けたら、まずはその内容を疑ってみるということが重要です。
しかし、一般の人は事故の専門的な知識、保険の仕組みなどは分からないのは当然ですので、自力で調査するよりも、まずは交通事故の過失割合の無料診断をおこなってくれる弁護士に相談するのが最も適切な方法です。
ほとんどの法律事務所が被害者の無料相談は受け付けてくれますので、ご自身の状況を説明すれば、その過失割合が適正かどうかを診断してくれるでしょう。

 

事故の過失割合は事故の状況により決まるが、双方の話し合いで合意することもできる

交通事故にあってしまったら、その場で警察を呼ぶ事になりますが、警察はまず事故が人身事故なのか物損事故なのかを確認します。
そして人身事故であると判断した場合、警察は事故の状況や態様を詳細に検証して調書を作成しますが、これが実況見分調書です。
この実況見分調書は、事故の状況を客観的に調査して記録したものとして、事故態様を判断する上で最も信用できる資料でもあり、事故当事者双方の過失割合もこれを基にある程度判断する事が可能です。

 

□合意に至らない場合は、過失割合を過去の判例を基準に判断する

加害者(保険会社)は、事故現場や実況見分調書を見て、この事故であれば過失割合はこの程度であろうと連絡をしてきます。
もし、相手から提示された過失割合について納得できない、または疑問がある場合には、安易にこれを受け入れる事は避けましょう。
一般的に「動いている車同士の事故で、一方の過失が0とは考えられない」と言われますが、相手が信号無視の場合や、居眠り運転、飲酒運転などの特段の事情がある場合は、この一般論は当てはまらない事もあります。
法律実務では、交通事故の過失割合について、判例タイムスの出版する『民事交通訴訟 における過失相殺等の認定基準』や、日弁連の発行している『交通事故損害額算定基準の過失相殺基準表』や『交通事故損害額算定基準』などが参考にされる事が多いようです。
ただし、これらの過失割合の基準はあくまで「実況見分や事故の詳細を踏まえた上で」算出される基準であり、過失割合は各事故毎に個別に判断が必要なものであるので、最初から法律で決められているわけではありません。

 

□駐車場事故の過失割合は裁判例を元に決める

「駐車場内での事故は過失割合が必ず50対50になる」という話もありますが、必ず50対50になるとは限りません。
駐車場内での事故でも、一般道路での事故と同様、個々の事故状況に応じて類似の事故の裁判例を基準にして過失割合を決めていきます。

 

□写真で証拠を残しておく事も、過失割合の決定に有利に働く

過失割合の決定の際、自分の車に残っているキズなども大きな証拠になります。
警察も写真は残してくれますが、自分でも事故直後の現場の様子や自分と相手の車の状態について写真で残しておくといいでしょう。
これらの写真は、後から過失割合に関する話し合いを行う場合の証拠にもなります。
これらの写真は、弁護士などに交渉を依頼する場合にも役に立つでしょう。
 

 

□過失割合の減算や加算となる要素

過失割合は事故態様で決定すると説明しましたが、過失割合の加算や減算の対象となる事故態様の例があります。
これらは車同士の事故と、車と人との事故について、加算、減算の要素となる事例です。
加害者が下記のいずれかに該当する場合は、相手には修正される要素に応じて5%から20%の加算修正が行われる可能性が高くなります。

 

■車同士の事故による加算、減算

著しい過失

わき見運転など、前方不注意が著しい場合。
その他、酒気帯び運転、速度違反の中でも時速15km以上30km未満の速度違反、著しいハンドルやブレーキの操作ミスなど。

重過失

居眠り運転、酒酔い運転、無免許運転、時速30km以上の速度違反など。

大型車

加害者が大型車に乗っていた場合、運転手に期待される注意義務の程度が高いことから、過失割合が加算されることがある。

道交法違反

加害者に何らかの道交法違反が認められ、当該違反が事故発生に起因したといえる場合、当該違反の程度に応じて過失割合が加算されることがある。

 

■人と車の事故による加算、減算

夜間の歩行

日没から日の出までの時間に歩行している場合、歩行者の過失割合が加算されるこ事がある。
歩行者は車のライトによって車を見つけやすいのに対し、車からは歩行者が見えにくいという理由から。

幹線道路

車道の幅が14mを超える(片車線に2車線以上ある)道路の横断歩道以外を歩行者が横断していた場合は、歩行者の過失割合が加算されることがある。
道路の道幅が広い事から交通量は多いと予測されるのに、歩行者が無理な横断をしたと判断されることが理由。

車の通過直前直後の横断と、横断禁止場所の横断

車が通過する直前や直後に横断した場合や、 道交法で横断してはならないと指定されている場所を横断している場合に歩行者の過失割合が加算されることがある。
車は歩行者の存在や事故を予測、対応しきれないという理由。

幼児・児童・老人・身体障害者との事故

幼児(6歳未満)、児童(6歳以上13歳未満)、老人(大体65歳以上)との事故の場合、車側の過失割合が加算されることがある。
歩行者に充分な判断能力がないと判断されるのに対し、車側はこのような弱者に対してより高度の注意義務を負っていると判断されるため。

集団通行

児童による集団登下校や、被害者が横断した際に横断者が他にも多数いた場合、車側の過失割合が加算されることがある。
歩行者が多くいる事から、車は事故の危険性の予測が容易にできるということが理由。

 

(参考文献:交通事故の法律知識(第3版) – 自由国民社)

 

このように、車同士の事故も、車と歩行者の事故も、どちらも過失割合の加算、減算にはたくさんの例があり、ここに掲載してあるものはごく一部です。

 

しかし、正確に相手の過失を問うためには道路交通法や、交通事故に関する専門の知識が必要になる可能性が非常に高くなるので、まずは専門家へ相談することをオススメします。
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