金銭トラブルについて
これからお話する事は全て 警察に確認を取ったわけではないので、あくまでも個人の私感 私見となります。
弊社にはよく
「かくかくしかじかの被害を受けているのに 警察が被害届を受理してくれない 動いてくれない」
というご相談を頂戴します。
確かに 伺った話だけで判断すると不可解に思う事もあるのですが、警察はそうそう間違った判断はしません。
意識してのものか無意識かは別として、人間というものは自分を正当化するために 自分にとって不利益になる事をなかなか言いたがらないものです。
「本当にそれだけですか?まだ私に伝えていない何かがありませんか?」
とお伺いすると「あっ、実は…」とその部分のお話をしてくれて、それでやっと納得できる事がよくあります。
あと 例え「お金を借りる理由」が嘘であったとしても、だからといって詐欺罪で立件できるわけではありません。
単なる金銭貸借を 警察に相談しても仕方がありません。
同じような被害状況でも 警察が動くケースと動かないケースに分かれる事は事実です。
警察の被害届の受理、捜査開始の判断基準は
⚫︎そもそもそれが〝刑事事件〟なのか否か
⚫︎事件として立件(公判維持)できるのか否か
⚫︎事件の悪質性
などを見て総合的に判断するのですが、同時にその被害者の事もよく観察しています。
被害内容を聞きながら 鋭い観察眼で抜かりなく「その事件の裏側にあるもの」を見ていて、「被害者側の非」「落ち度」「嘘」「企み」「事件に絡む〝下心〟の有無」などを見極めています。
ストーカー事件などで判断を見誤り 世間から大バッシングを受けた事などもありますが、私が見ている限り 警察の判断にはほぼ間違えはなく「非常によく見ているな。妥当なジャッジをしているな。」というのが率直な感想です。
確かに 捜査するか否かは その警察の警察署長や 担当部署の係長の判断に委ねられているような面もあり、〝警察がやる気になるかどうか〟に大きく左右されるような部分もあります。
相手の肋骨を三本折り 顔の形が変わるほど殴って 辺り一面血だらけにした現行犯が逮捕されなかった例も知っていますし、逆に 立ち小便で逮捕された例も知っています。
前者は 先に手を出した被害者が全身刺青だらけの現役ヤクザで 加害者が堅気であったためであり、後者は 警察官に酷い悪態をついた人物が そのまま立ち小便をしたためです。
あと警察は「被害者側の〝非〟と 受けた被害のバランス」も重要視します。
例えとして適切かどうか分かりませんが、例えば 顔面を拳で殴られた人であっても 相手を包丁で刺したら完全に加害者になってしまいますが、足を蹴られた程度の事で相手の顔を叩いたら それは〝どっちもどっち〟と取られても仕方がないわけです。
精神を病んでいて 非常に攻撃的な人が受けたそこまで悪質ではないDV、お金を借りている立場の人の主張するストーカー行為、下心のある人の受けた詐欺的行為などが なかなか取り合ってもらえないのは「一方的な被害者とは言い難い」ためです。
その逆で、何ひとつ非のない 判断能力の衰えたお年寄りなどからお金を騙し取る「振り込め詐欺(特殊詐欺)」のような悪質な事件には トコトンやるわけです。
警察は その事件の「背景にあるもの」も重要視します。
背景を知りその事件の〝本質〟が分からなければ 公正な判断は下せないので、当然そうなると思います。
明らかに警察が動くべき事件であるにも関わらず 動いてくれない時は、必ず何かそれなりの理由があります。
まずはご自分の非、落ち度などをよく考えてみて下さい。
警察が動いてくれない以上 刑事的な罰を与える事は不可能です。
あとは 民事的な罰(損害賠償・慰謝料)を与えるしかありませんが、総じて刑事的判断よりはハードルが低くなりますので、まだまだ諦める必要はありません。
逆に言えば 警察が相手を逮捕した案件に対しては〝ほぼ〟民事的請求が可能になりますが「逮捕されてから請求する」事が効果的かどうかは場合によります。