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タイプ別DV加害者の特徴「最高権威男」タイプ

「最高権威男」タイプ

「最高権威男」は自分を、世の中のあらゆる物事の最高権威だと思っています。
「年中無休の最高権威男」と呼んでもいいかもしれません。
絶対的な確信をもって話し、あなたの意見はまるでうるさいハエのように払いのけます。
世界をまるで壮大な講義室のように見ていて、そこでは自分が教師であなたは生徒なのです。
あなたの考えや洞察には価値を見出していないので、あなたの頭を空っぽにさせてから、宝石のように輝かしい自分の知識でー杯にしようとします。
第三者が介入すると、相手の女性の事をまるで彼女が危険な状況にあるのは彼女自身の愚かさのせいであるように 話し、彼女が自分で自分をダメにしてしまう恐れから救ってあげなければと語ることがよくあります。

 

「最高権威男」は相手の女性に向かって、あるいは彼女について、偉そうな口調にならずに話す事がなかなかできません。
対立した時には横柄さはますますひどくなります。
「最高権威男」の優越感に満ちた態度は、物事を自分の望む結果ヘと仕向ける際に役立ちます。
自分の欲求と相手の欲求がー致せず口論になると、それを正しい人と間違えている人、あるいは頭のいい人と悪い人の間の衝突であるかのようにケンカを仕掛けます。
彼女の意見をバカにしたり疑ったりしてまともに扱いません。

 

「最高権威男」は世の中の事を全てを知っている上に、あなたが人生をどのように生きるべきか知っている、あなたの人生の専門家であるかのように振る舞います。
職場での揉め事や、時問をどう使うべきか、子どもをどう育てるベきか正解を知り尽くしているつもりです。
あなたの欠点については特に詳しく、まるでけなせばもっとよい人間になるとでも言うように、あなたのどこがおかしいのかひとつひとつを調べるのが大好きです。
時々他の人たちの前で恥ずかしい思いをさせることで、あなたを正すのを楽しんでいるように見えるかもしれません。
そうする事によって、自分の方が知的に優れている事をまわりに認めさようとしているようです。

 

「最高権威男」の見識に相手が従わないと、エスカレートして侮辱したり、見下した言い方で呼んだり、女性の物真似をしてバカにしたりします。
それでもまだおとしめ方が充分でないと思うと、晩の外出の計画を取りやめにしたり、彼女を置いたままどこかに行ったり、他の人に彼女の悪口を言ったりするといった奥の手を使います。
身体的な虐待をする男性の場合、物を投げたり、拳を振り上げたり、暴力を振るったりするのはこういった時です。
要するに、相手がどうしても自分の考えを押し通そうとしたら、必ず後悔させようとして何らかの手口を使うのです。

 

「最高権威男」はある意味「拷問男」の変形で、違いは身体的暴力を振るったり恐怖感を与えたりする事がそれほどない事でしよう。
ただし「最高権威男」のコントロールは、どのように物事を考えるべきか相手に押し付ける事に特に集中する傾向があります。
「最高権威男」のコントロールに、相手の女性は息が詰まる思いをします。
まるで自分の行動を顕微鏡越しに見られているように感じるからです。
「最高権威男」は「私には私の考えがあるから」とか「議論するのが好きなんです」などと言って、自分の虐待を正当化しようとします。
これはまるで、銀行強盗が「経済問題に興味があります」と言っているようなものです。
「最高権威男」は、お互いの考えを話し合うつもりなど全くなく、ただ自分の考えを押し付けたいだけなのです。

 

「最高権威男」タイプの主な考え方

・私の知性に畏敬の念を抱き尊敬するべきだ。
私は君よりも物事をよく知っているし、君にとって何が最善なのかさえ私には分かっているのだから。
・お前の意見には注意深く聞いたり、まじめに受けとるほどの価値はない。
・僕の意見に反対したりしなかったりする事が、君の考えがいかにいい加減かという証拠だ。
・何が正しいのか私は知っている。その事実を君さえ認めれば私たちの関係はもっとうまくいくし、君の人生ももっとうまくいくようになる。
・何かの事で僕に反対したら、どんなに丁寧につつましく反対したとしても、それは僕を虐待した事になる。
・充分にお前をけなし続ければ、お前にも理解できる日が来るだろう。

 

 

 

〈出典:DV・虐待加害者の実体を知る/ランディ・バンクロフト/監訳 高橋睦子 中島幸子 山口のり子/出版 明石書店〉

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