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タイプ別DV加害者の特徴「鬼軍曹」タイプ

「鬼軍曹」タイプ

「鬼軍曹」はギリギリまでコントロールして、相手の女性の生活を全面的に管理しようとします。
服装を批判したり、外出はどこがダメでどこはいいとか決めつけたり、仕事の邪魔をしたりします。
相手の女性には誰とも親しくさせたくないので、友人や親戚との関係を壊したり、人と会う事を禁止したりします。
相手の女性の電話での会話を盗み聞きしたり、Eメールを読んだり、自分の留守中は相手の行動を子供たちに常に報告させたりします。
相手の女性は夜決められた門限までに帰宅しないと虐待されるかもしれません。
彼女は自分がまるで暴君のような父親と暮らしている小さな女の子で、8歳の子に許されるようなわずかな自由しか持っていないように感じます。

 

「鬼軍曹」は異常なほど嫉妬深い事がよくあります。
浮気をしているとか他の男性に興味を示したといった言いがかりをつけて攻撃し、下品で気味の悪い性的な言葉を使って長いこと攻撃します。
「女は皆ふしだらだ」などと女性一般に対してひどいことを言うことで、相手の女性ヘの憎しみの言葉を強調する事もあるでしょう。
こういった言葉の暴力が心に与える衝撃は、性的暴力が与える衝撃と同じです。
自分は侵害され、劣っていると感じたり、トラウマを抱えたりします。
その反面このタイプの虐待をする人はたいてい、自分の方が外で不倫をしています。
このタイプの男性にとっては、相手の女性は貞節であることに価値があるのではありません。
彼女を所有することに価値を置いているのです。

残念ながら「鬼軍曹」は遅かれ早かれ、ほぼ確実に身体的暴力を振るうようになります。
恐らく脅す事始まり、最終的に身体的攻撃にエスカレートするでしょう。
あなたが自分の自由の権利を守ろうとして彼に立ち向かうと、暴力や脅しがエスカレートし、あなたが諦めて彼のコントロールに従うまで続く恐れがあります。

 

このタイプの男性には、重傷を負わせるほどの暴力を振るう危険性があります。

しかし「鬼軍曹」の元から逃げるのは、なかなか困難です。
女性の行動を厳しく管理しているので、被害者女性の支援グループに連絡を取ったり、その他の助けを探し求めたりするのが難しくなります。
まわりの人たちから孤立させられているので自分の力に頼るしかなく、もう自分の中には気力が残っていないように感じる日があるでしよう。
しかもこのタイプの男性は人前でも平気で暴力を振るう恐れもあるので、逃げようとしたら殺されるかもしれないということも含めて、どんな結末になるか考えざるを得ません。

 

もしあなたの相手が「鬼軍曹」であれば、あなたの状況は危険です。

しかし諦めないで下さい。
時間がかかっても、そのような囚われの身から逃げ道を見つけた女性たちはたくさんいます。
まず相談できる人に相談してみてください。
さしあたり安全に相談できる時間が5分しかないのなら、5分間でも話してみましよう。
もしできるなら毎日相談しましょう。
人に相談する事が自由ヘの道の始まりです。

 

こうした男性にはあまりにも思いやりや優しさがないので、あなたは他の人と付き合いたいと思うかもしれません。
「鬼軍曹」は性的にとても下劣な傾向があるので、よい性的関係を持つ事は、あなたにとって特に肯定的に感じられるかもしれません。
しかし、他の男の人といるところを見られたら、命に関わる危険があります。
自分の身の安全を確保するまで、他の男性と関係を持つのは待つように考えてください。

 

「鬼軍曹」は精神的な問題を抱えているケースがよくあります。
精神的な問題が虐待をひき起こすわけではありませんが、暴力を振う傾向を強める事があります。
彼が明らかに真実でない事を信じてしまうようであったり、普段から人と接するのが苦手だったり、子供のころひどい虐待やネグレクト(育児放棄·養育放棄)を経験していたり、精神的な間題を示すその他のサインがある場合はさらに注意が必要です。

 

「鬼軍曹」タイプの主な考え方

・お前の行動をすべて俺が管理しなけれぱ、お前は誤ったやり方をしてしまう。
・全てがどう行われるべきか私は正確に知っている。
・君は僕以外の人(人でなくて他の事でも)を生活のー部としてはならない。
・私はお前が力をつけて自立してしまわないように、タカのような眼で見張っている。
・お前のことを世界の誰よりも愛している。しかしお前は最低だ。

 

 

〈出典:DV・虐待加害者の実体を知る/ランディ・バンクロフト/監訳 高橋睦子 中島幸子 山口のり子/出版 明石書店〉

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