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タイプ別DV加害者の特徴「過剰要求男」タイプ

「過剰要求男」タイプ

「過剰要求男」は非常に強い特権意識を持っています。
相手の女性の生活が自分のニーズを満たすことを中心として営まれるべきだと思い、もし邪魔が入ると怒ったり責めたりします。
ほんの少しだけでも自分の要求に女性が応じていないと思ったり、不便を感じたりしただけでも感情的になります。
このタイプの男性が相手であれば、女性は自分は何をしてもうまくいかない、彼を喜ばせることがどうしてもできないと感じるようになるでしよう。
このタイプの男性は女性を頻繁に批判します。
たいてい彼女が自分に対してすベきことをしなかったから、あるいはもっとうまくすべきだったからというのが理由です。
多くを要求する男性のすべてがDV加害者という事ではありません。
「過剩要求男」の虐待行動パターンには、具体的に次のような要素があります。

 

1.讓り合うという意識があまりありません。

心を支えてもらったり、願いを聞いてもらったり、身の回りの世話をしてもらったり、性的にかまってもらうことを要求します。
自分があなたにしてくれる事に比ベれば、まったく不釣合いな要求です。
あなたに何かしてあげている訳でもないのに、加害者はあなたから何かしてもらうことを当然のように常に期待しています。

 

2.自分がしてあげていることを誇張して過大評価します。

例えばこのタイプの男性が、過去にさかのぼって随分前のある日に気前よくあなたに親切な事をしたとしましょう。
自分はとてもよくしてあげているのに、あなたは恩知らずであることを示す証拠として、その日の出来事を多分いまだに聞かされているのではないでしようか。
自分が願いを聞いてあげたり優しくしてあげたりするとそれらを全部覚えているようで、それぞれを何倍にもして返してもらうことを当然と考えています。
もし彼が日常の生活でしなければならないごく普通のことをしたら(するならの話ですが)、心から恩に着てもらって当然だと考えますが、あなたがそれらをすることは当たり前だと考えます。

 

3.あなたにしてもらえるだろうと期待していた事をしてもらえないと、自分をガッカリさせたという理由であなたを罰します。

 

4.気前がよかったり協力的だったりするときは、彼がそうしたい気分になっているだけです。

何も与えたくない気分のときは与えません。
あなたに肯定的に温かく接するのは、自分は善人だと自分が納得したい時、自分が善人だと他人に対して証明する必要を感じた時、あるいは引き換えに何か要求しようとする時です。
つまり全て自分のためであって、あなたのためではないのです。
長く付き合うほど、一見優しい行為がだんだんと利己的な行為であることが見えてくるでしよう。

 

5.あなたのニーズが自分のニーズと合わなければ激怒します。

そして自己中心的だ、融通がきかないと言ってあなたを責めたり「いつも自分のことばかり考えるな!」などと言ったりして、現実をあべこべにしてしまいます。
「自分はこれだけしてあげているのに」と悲しそうな声で言うことにより、あなたがいかにわがままでありがたみの分からない人間なのかと、外部の人たちに訴えかける傾向があります。
しかしそのー方で「過剰要求男」は、自分に何かを要求されると恐らく激怒するでしよう。
このタイプの男性の視点からすれば、あなたが何か彼に頼む事だけでなく、自分のことは自分でするようにと言う事さえも許されないのです。
自分で汚した場所を自分できれいにするよう頼むと「俺はお前の召使じゃない」という返事が返ってくるでしょう。
貸したお金を返すように頼んだり、家計を助けるために勤務時間を数時間増やしてくれるように頼んだりすると「典型的な女だな。俺から欲しい物は金だけだろ」と言います。
力になってくれる事がほとんどないと不満を言うと「要求の多い女だな。俺を言いなりにさせようとしやがって」と答えるでしょう。
彼はいつもこのように物事を逆にねじ曲げ、あなたのニーズや彼がすべき事についてあなたが話をしようとしても、即座に彼のニーズとあなたがすべき事についての話にすり替えてしまうのです。
「過剰要求男」は、自分のニーズが思うように満たされている限り、他のタイプの男性ほどコントロールをしないかもしれません。
あなたが友人を持つことを容認したり、仕事のキャリアを積んだりすることを応援してくれるかもしれません。
しかし異常な特権意識があなたに及ぼす悪影響は、厳しいコントロールにさらされる悪影響と同じでしょう。

 

「過剰要求男」タイプの主な考え方

・僕に色々してくれるのが君の役割だよ。僕が自分ですべきことを失敗してしまったら、その後始末をしてくれることも含めて。
・僕が自分の人生に何か不満があったら、それが僕たち二人に関係があってもなくても君のせいだ。

・お前は決して俺に要求をするべきではない。俺がお前に何かを与えようと決めたら、それが何であれお前はありがたく思うべきだ。

・私に非はない。

・僕はとても温かくて寛大だから、あなたは僕とー緒にいられてラッキーだ。

 

 

 

〈出典:DV・虐待加害者の実体を知る/ランディ・バンクロフト/監訳 高橋睦子 中島幸子 山口のり子/出版 明石書店〉

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