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タイプ別DV加害者の特徴「テロリスト」タイプ

「テロリスト」タイプ

 

「テロリスト」タイプは、非常にコントロールしたがるだけでなく、過度な要求をする傾向があります。
しかも最悪な点は、身体的に滅茶苦茶にしようと思えばできるし殺す事さえもできると、相手の女性にずっと感じさせるところです。

相手を本当に殴るとは限りません。
彼らの中には、脅迫や奇妙に遠回しな言い回しやおかしな行動が、彼女を恐ろしがらせる事を知っている人もいます。
このタイプの加害者の一人は、夫に殺害された女性の記事を切り抜いて、冷蔵庫にテープで貼り付けていた事がありました。
また、ある男性は女性から別れ話を切り出されて、動物の血を玄関先にまき散らしました。
さらに、相手の女性に苛立つ事があると包丁を出してきて「研ぐだけだ。お前とは何の関係もない」と言い張る加害者もいました。

 

他のタイプの加害者と違って「テロリスト」はサディストである事が多いようです。
痛みや恐怖感を与えることに快感を覚え、残虐な行為にスリルを感じるようです。
他のタイプの虐待者の多くは子ども時代に酷い虐待を受けていませんが、「テロリスト」の場合はその可能性が高いでしょう。
しかし、あなたに彼を治すことはできないのです。
彼の間題を何とかできるかもしれないという希望をも持っているから、彼と暮らす恐怖感を我慢しているのであれば、治せないというのは受け人れ難いかもしれません。
けれども「テロリスト」の抱える問題はあまりにも深く、深刻な精神面に加え加害者に典型的にみられる破滅的な性格が複雑に絡み合っているので、相手であるあなたが解決してあげる事はできません。
あなたは自分の身の安全を確保する事に集中するべきです。

 

「テロリスト」のー番の目標は、あなたを恐怖感で麻痺させて、別れる事や浮気する事など決して考えないようにさせることです。
加害者たちが殺すと脅しても、ほとんどは実際に殺すわけではありませんが、それでも本当に殺す人たちも少なくありません。
このような恐怖に怯えて暮らす事のトラウマは深刻で、安全な場所ヘ避難する方策を冷静に考えられなくなります。
それでもほとんどの女性たちは何とか脱出に成功します。
決め手となる第一歩は、一日も早く個人情報を守秘してくれる支援者に相談する事です。
安全な時と場所を見つけて、一刻も早く誰かに相談する事から始めましよう。

 

女性が「テロリスト」の元から実際に離れたとしても、ストーカー行為や脅迫行為をされる事があります。
このような危険な行為は長期に渡って続く事もあるでしよう。
もし二人の間に子供がある場合ほ、子供を利用して恐怖感を与えたりコントロールしたりしようとして、親権や監視されない面接交渉権を得ようとするかもしれません。
あるいは、女性の職場や両親の住所など知っている情報を利用して居場所を突き止めたり、女性にとって大切な人たちを脅したりする事もあるでしよう。
友人たちや親戚や裁判所や社会が、これらの危険な事が現実に起こりうるということを理解して、あらゆる側面を網羅した支援と保護をその女性に提供することが不可欠です。
それとともに、虐待をしている男性の責任を問うような措置を講じることが重要です。

 

「テロリスト」が殺人を犯すまでエスカレートするのを食い止める事は可能でしょう。
しかしそれはストーカー行為や脅迫行為は許されない事、自分の行動の責任は自分にある事、脅迫行為をただちにやめなければ社会にはその男性を刑務所ヘ入れる準備がある事、などの厳しいメッセージをその男性が理解した場合に限ります。
これらが揃っていないと不十分です。

 

「テロリスト」タイプの主な考え方

・俺に反抗したり俺の元を去ったりする権利はお前にはない。お前の命と人生は俺が握っている。
・女は邪悪だ。女の中の悪魔が現れてこないように怖がらせておく必要がある。
・お前に自立する権利があるなんて認めるぐらいなら死んだ方がましだ。
・子供はお前を脅すのにー番役立つ道具だ。
・お前が怖がるのを見るのは快感だし、怖がらせがいがある。

 

 

〈出典:DV・虐待加害者の実体を知る/ランディ・バンクロフト/監訳 高橋睦子 中島幸子 山口のり子/出版 明石書店〉

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