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タイプ別DV加害者の特徴「ランボー」タイプ

「ランボー」タイプ

「ランボー」タイプは、相手の女性に対してだけでなく誰に対しても攻撃的です。
人を怖がらせる感覚にスリルを感じ、巧妙にあるいはあからさまに恐怖感を与えることで日常の出来事に対処しようとします。
男らしさについて、誇張された固定観念に基づいた考え方を持っています。
同時に女性の事は、傷つきやすくて劣っていて、守ってもらう事を必要としていると考えています。
「ランボー」タイプには育った家庭や地域で、自分が暴力を振るわれた経験のある人が多いでしよう。
身の安全を感じるためには、誰よりも腕力が強くたくましくなるしかなく、優しさなども持ってはいけないと学んでいます。
弱さやもろさや優柔不断さには少しも我慢ができません。
暴行、窃盗、飲酒運転、あるいは薬物取引の犯罪歴があることも多いです。

 

「ランボー」は付き合い始めたばかりの頃は、恐らく他のタイプ同様に愛情と優しさをもって相手の女性に接するでしょう。
このタイプの男性は恐れを感じないので(あるいは感じないふりをしているので)、一緒にいると女性は安心できて守られているように感じます。
そのため暴力が起きていた家庭で育ったり、虐待をする別の人との関係を解消する過程にある女性が、特にこの「ランボー」タイプの人にひかれやすいと言えます。
「ランボー」はあなたを愛しているのだから、あなたにその攻撃的なー面を向ける事など少しもないかのように思わせるかもしれません
まるであなたが実の娘であるかのようにあなたの安全を守りたいと「ランボー」は望んでいるように見え、勇敢な騎士であるかのような気分であなたを守る役割を買って出たりします。

 

しかし「ランボー」は女性を尊重していません。
この女性ヘの軽視に彼本来の暴力を振るう傾向が結び付いたとき、「ランボー」の攻撃からあなたが身を守らなければならなくなるのは時間の問題です。
非常に「男っぽい」男性たちの多くは「ランボー」ではありません。
男っぽい男性全てが女性を虐待するという間違った俗説は、たいてい所得格差や人種ヘの偏見に基づいています。
同じような理由で「繊細そうな男」や「最高権威男」がまんまと気づかれないままでいます。
格闘技や激しいスポーツやその他の典型的な男っぽい趣味を持っているにも関わらず、誰に対しても親しげで感じがよく、攻撃的なやりとりはできる限り避けようとする「たくましい男」はいくらでも世の中にいます。
中にはケンカに強い人もいるでしようが、その強さを自己防衛のみに使います。
男っぽいかどうかという点で、その人が虐待をする人かどうかは判断できません。
誰に対しても暴力的であったり怖がらせたりすることや、女性を軽蔑したり優越感を持っていたりすることが危険信号なのです。

「ランボー」が精神病質者や社会病質者であったりすることもときにはあります。
その場合は、一層ひどい心理的虐待や身体的虐待をする恐れがあります。
虐待をする人たち中で精神病質者やその他の精神障害をもつタイプについては、また後で触れます。

 

「ランボー」タイプの主な考え方

・強くて攻撃的なのはいい事だ。思いやりをもったり争いを解決したりするのは格好悪い事だ。
・暴力沙汰になりそうな状況から立ち去ったり、恐れや悲しみの感情を見せる事などを含めて、ほんのわずかでも同性愛者を連想させたりするような事は何としてでも避けなければならない。
・女性である事や女々しさ(同性愛者を連想させるもの)は劣っている。女性は男性に仕え男性に守られるために存在するのだ。
・男性は女性を決して殴ってはいけない。そのような行為は男らしくないからだ。しかし自分の相手については、もし彼女の行動があまりにも酷ければ例外も認められる。男性は女性を従わせなければならない。
・お前はモノであり、俺の持ち物だ。ちょうどトロフィーみたいなものだ。

 

 

〈出典:DV・虐待加害者の実体を知る/ランディ・バンクロフト/監訳 高橋睦子 中島幸子 山口のり子/出版 明石書店〉

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