簡単にいうと、脅せば脅迫、脅して「これしろ!あれしろ!」と言えば強要、内容に関係なく恐がらせてお金や品物を取れば恐喝になります。
「痛い目にあわせてやろうか!?」は脅迫罪。
「痛い目にあわせてやろうか!?それが嫌だったらあの女と別れろ!」は強要罪。
「痛い目にあわせてやろうか!?それが嫌だったら100万円持ってこい!」は恐喝罪。
となります。
尚、害悪の告知方法は、口頭での発言や文書、電話、メールの他、態度・動作の場合であっても、また、第三者を介する方法であっても成立します。
また「一般人が恐怖を感じるに足りる」ものであれば成立し、実際に本人が恐怖心を感じるかどうかは問われません。
因に、脅迫、強迫は両方とも「きょうはく」と読みますが、使われる場面が違います。
どちらも相手を畏怖させる(怖がらせる)行為のことであり、例えば、「半殺しにするぞ!」と言った場合には、脅迫にも強迫にもあたり得ます。
しかし、脅迫は刑法の脅迫罪などの場合に用いられる言葉であり、これに対し強迫は民法で強迫されて締結した契約は取り消すことができるという場合に用いられる言葉です。
簡単にいえば、脅迫は刑法、強迫は民法で使われるという事です。
さらに恐喝と似た犯罪に強盗があります。
強盗罪になると「5年以上の有期懲役」となり、更に罪が重くなります。
強盗も恐喝も、被害者に対して暴行・脅迫をして財物を奪うという点で、かなり似ているますが、刑法では、違う犯罪とされています。
強盗と恐喝の違いは、暴行・脅迫の程度です。
分かりやすく言えば、強度の暴行・脅迫の場合に強盗となり、そこまでではない暴行・脅迫の場合が恐喝になります。
強盗は、やはり拳銃や包丁などの凶器を使う場合に成立する可能性が高く、凶器を全く使わない場合には恐喝の可能性が高くなります。
ですが、凶器の有無は一つの判断要素であり、何も凶器を使わなくても強盗罪の成立を認める裁判例もあります。
強盗と恐喝の境界線は「相手方の反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫」があれば強盗になり、そこまでいかない程度の暴行・脅迫の場合には恐喝になると言われています。
反抗を抑圧するという言葉は聞き慣れないと思いますが、言い方を少し変えると、抵抗できなくするという意味です。
拳銃を向けて「金を出さなければ撃つぞ」と言われれば、普通の人は抵抗できなくなってしまうでしょうから、このような行為は「相手方の反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫」があり、強盗になります。
これに対し、「あなたが不倫していることを奥さんに言われたくなかったら、100万円よこせ」と言われた場合、「ばらされたら困る」と思って100万円渡す人もいるとは思いますが、「こんな人間に100万円も払うなんて嫌だし、最悪離婚すればいい」と思って拒否する人も想定できることからすれば、「相手方の反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫」とまではいえず、恐喝に該当します。