人探し・住所特定について
非常に重要な事であるにも関わらず、皆さんが意外と知らない事ですので、少々長くなります。
何らかの民事的請求をする際、個人で請求するか 弁護士に依頼して請求するか 迷う方もおられると思います。
まず個人で請求してみて、ダメであれば弁護士に依頼する方も多いでしょう。
よく〝回収成功確率〟を問われる事がありますが、一言で言えば「全くもって相手次第」となります。
突き詰めれば 相手の「勤務先の質」や「差押えられるものの有無」次第という言い方もできると思います。
相手が いつでも辞められるような会社に勤めている(または無職)場合や、差押えられるものの何もないような場合は、相手が開き直って応じない確率も高くなります。
そのような場合はもはや、相手の〝弱味をつく〟事くらいしか打開策はないかもしれません。
その人の「人間性」などにも大きく左右されると思いますが、あくまでも 事実関係で争う余地がなく、それが妥当な請求であればのお話をします。
私は大きく分けて
「とても常識的な人(守るもののある人)」
「とても非常識な人(守るものの何もない人)」
「どちらとも言えない人」
の三つに分けて考えます。
〝守るもの〟とは「勤務先」「財産」「家族」「社会的地位」「周りの人に対する信頼」などの事を指しますが、とても非常識な人には その全てがないようなケースも珍しくありません。
極端な話「充分働けるのに 怠けて生活保護を受けている人」のような場合は、諦めた方がいいと言っても過言ではありません。
相手がとても常識的な人(守るもののある人)の場合は、個人で請求しても応じてもらえる可能性が高くなると思いますが、逆に とても非常識な人(守るものの何もない人)の場合は 弁護士から請求をしても応じない可能性が高くなります。
しかし多くの場合 相手は「どちらとも言えない人」(どちらか分からない人)となるでしょうから、その判断が難しくなるのですが、チョットした簡単な調査をするだけで ある程度は分かるものです。
弁護士に依頼して請求をするメリットはたくさんあります。
そもそもそれが「正当に請求できるものであるのかどうか?」をよく分かっておられない方も多いようですし「請求金額の相場」もよく分からないと思います。
(ネットに書いてある情報を鵜呑みにするのは危険です)
個人で請求をする場合 その方法論を間違えると、恐喝罪などの法に触れるリスクもありますが、その点も弁護士に任せておけば安心です。
あと「弁護士から請求する」という事自体 相手にそれなりのプレッシャーを掛ける事ができますし、「弁護士が提示している金額は 必ずしも応じなければならない正当な金額」だと考える人が多いと思います。
実際には、相手側にも弁護士がついたり 裁判になった場合は減額されるケースが多いのですが、トラブル相手から「○○万円払え」と請求されると「冗談じゃない」と反論する人が、弁護士から請求されると納得するようなケースが多いのも事実です。
正直 民事請求は「賭け」みたいなところもあります。
ご自分が弁護士を介入させて(または ご自分に知識と交渉力があって)相手が弁護士を介入させなければ 相場より多く取れる可能性が高くなりますが、欲張ってあまり高い金額を請求すると 高確率で相手も弁護士に依頼をします。
お互いが弁護士を介入させると ほぼ相場通り(お互いの程よい落としどころ)に収まるもので、もしそれができなければ いよいよ裁判という事になります。
(もちろん 知識と交渉力あれば、相手が弁護士を介入させても 個人で戦う事もできます)
あと大切なのは、弁護士に依頼する際には 実際の「手取り」を考えなければなりません。
例えば「こちらが70万円、相手が50万円」を主張したとします。
どうしても70万円取りたくて 弁護士に依頼をして70万円を勝ち取ったとしても、結局のところ弁護士への着手金、成功報酬、その他諸経費などで〝手取り〟は50万円を大きく割り込む事になるので、最初から「50万円で和解」をした方が賢い選択と言えます。
多くの方は、そこが分かっていません。
まず お互いの「これ以上は引かない」という限界金額を見定めて、自分の主張する金額に固執して弁護士を介入させる事によるマイナス要素(お金、時間、手間など)をよく考え、依頼するかどうかを判断する必要があると思います。
逆に 全くもって妥当な金額であるにも関わらず、相手が頑として引かないような場合には
「これで手を打たないのであれば お互い弁護士に依頼せざるを得なくなる。
その際は あなたにとってもカクカクシカジカのデメリットが発生する」
という事を分からせてあげて、諦めるよう上手にいざなう必要があります。
兎にも角にも、個人で請求する場合のキーポイントは
「いかに弁護士に依頼せずに、いかに弁護士に依頼されずに 和解に持ち込むか」
という事になります。
通常 何らかの請求をした場合、相手は高確率で「弁護士への相談」だけはしますので、その時点で「おおよその相場」は分かります。
よって 請求金額が低ければ低いほど成功確率が上がるという事になりますが
「いかに〝相場〟の範囲内で多く取るか」
というギリギリの〝交渉力〟が求められる事になると思います。
弁護士に依頼する際、一つだけ言える事は
「弁護士は誰に頼んでも一緒」
は絶対的に間違えだと思います。
請求金額の全額が認められるものを除き、民事賠償の金額に「この金額だ」という〝正解〟はなく、10人の弁護士がいれば考え方も10通りです。
むしろ「弁護士選び」が最も重要になってくるのではないかと思います。